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はじめに
こんばんは。えりある(@arielkukls)です。去る11月3日深夜、アニメ『「艦これ」いつかあの海で』の第一話が公開され、ついに山城さんも地上波デビューを果たしました。予告の「駆逐艦ごときに舐められる訳にはいきません!」から駆逐艦時雨に舐められる(物理)山城さんのことを想像した提督も少なくないかと思いますが、いざアニメとして動いている山城さんを見るとその表情のひとつから指の動き、張ったり震えたりした声まで完璧に素晴らしい。最高です。ここまで生きていて本当によかったなと思いました。山城さんは何話まで生きていられるかな……(諦め)。
という訳で、今回の記事ではそんな素敵な山城さんの魅力について懇切丁寧に説明していこうかと……
え、ダメ?
NFについての記事を書け?
という訳で(仕切り直し)山城さんの話はやめて、山城国(京都)の山である、吉田山の話をすることにします。NFついでにふらっと2時間楽しく歩ける観光案内、そんな記事を目指したいと思います。
吉田山って何?
最初にちょっと説明を挟むので、文章を読みたくない人は写真のある所までスクロールをどうぞ。
さて、NFというのは言うまでもなく京都大学で開催される訳ですが、他の大学よろしく京都大学にも複数のキャンパスがあり、西には桂キャンパス、南には宇治キャンパスが存在しています。では本部は何キャンパスかと言うと、これは吉田キャンパスと言います。大学の所在地も「京都市左京区吉田本町」ですね。そして、その吉田キャンパスの東に位置する標高105mの山こそ、今回紹介する「吉田山」なのです。
そして吉田山の歴史と切っても切り離せないのが「吉田神社」。現代では節分祭で有名です。ここは859年に藤原家によって創建された神社ですが、一時期は日本の神道の総本山みたいな扱いを受けていた時期もあったりします。というのも、室町時代にここの神主であった吉田兼倶が「吉田神道」と呼ばれる神道の流派を興し、それが伊勢神道の弱体化や室町幕府への介入などなんやかんやあって江戸時代くらいまで覇権を握っていたのです。やがて江戸の復古神道の流れで吉田神道は衰退し、かつてほど権威のある場所ではなくなりましたが、ともかく深く複雑な歴史のある神社であることはご理解いただけたかと思います。
吉田山の面白さはこれに留まりません。洛外とはいえ京都の町、周囲には寺社仏閣やら天皇陵やらが多数存在します。また麓の建物も特徴的で、西部は京大をはじめとした文教地区特有の面影があったり、東部は大文字を間近に見られる景勝地として別荘などが建っていたりもします。地学的観点からは、ここから北へと走る花折断層による、北西部の急峻な斜面が特徴的でしょう。断層の影響で出来た山だとも言われています。
では、予備知識はこんな所にして、実際に写真で見ていきましょう!
歩いてみよう吉田山
はい、よーいスタート。
西部 ~参道と吉田神社~
それでは京都大学本部構内、正門のクスノキ前からタイマー開始です。時刻は午後3時、少し太陽がオレンジ色を帯びてくる時間ですね。ちなみに筆者のオススメ出発時刻は2時過ぎです。理由は後程……。
正門を左手に出ますとすぐに鳥居が目に入ります。吉田神社はこの先です。ツウはここから1本南に降りるようですが、我々はニワカなので正面から向かいましょう。
進むと階段があり、それを登れば吉田神社の本宮が左手に見えてくるでしょう。まずはここでお参りをしましょう。*1
しかしここで帰っては仁和寺にある法師。どれだけ短縮チャートで挑んでも、もう一か所だけ訪れるべき場所があります。本宮を出て階段を右手にそのまま直進、少し山を登った先に、吉田神社の大元宮があります。
本宮は言ってしまえば一般的な神社ですが、大元宮は色々と特殊です。まずここに参拝すると実質全国の神々にお参りしたことになります。ゴッドフェスです。というのもこの大元宮、本殿を中心として全国各地の神社の分社がぐるりと配置されています。随分とお得な神社となっている訳です。また本殿は八角形になっており、これも珍しいものですよね。
室町以降、ここが吉田神道の総本山的な立ち位置になってからは、この大元宮こそが伊勢神宮などを越えて日本で最強の神社でした。今では末社でしかありませんが、見る価値のある場所だと言えるでしょう。
南部 ~宗忠神社と沢山の寺社~
では大元宮を出たら左手に向かいましょう。しばらく行くと、正面に下り坂、左手に沢山の鳥居、右手に多分神社っぽい雰囲気の道がある、十字路に辿り着きます。ここを右に曲がると、宗忠神社に辿り着きます。
宗忠神社は江戸末期に開かれた宗教である「黒住教」の神社で、その教祖である「黒住宗忠」が祀られています。岡山県に本部があるみたいです。
宗忠神社から東へ階段を降りていくと、ちょっと住宅街に戻ってきた気持ちになれます。階段を降りたら狛犬を見ておきましょう。逆立ちした備前焼の狛犬がいます。可愛いですね。
ここで左折してすぐの左手に、「吉田山荘」という建物があります。昭和7年に建てられたもので、登録有形文化財に認定されています。現在はカフェとしても営業しており、お値段はケーキセット1300円とまあそこそこですが、いい建物、いい景色と共に楽しむ休憩というのは何物にも代えがたいものです。えりあるが2時過ぎ出発を一案としてオススメしたのは、ここに3時前後に到着できるため(そして夜が暗くならないうちに帰れるため)です。
今回は無課金チャートなので割愛します。
階段を背にそのまま直進すると、目の前にお寺の門が見えてきます。真如堂です。紅葉が有名なお寺で、NFの時期だとモミジが綺麗に色づいている頃ではないでしょうか。特別拝観も見ごたえがありそうです。今回は無課金チャートなので割愛しますが。
真如堂からさらに南に下れば金戒光明寺(通称:黒谷さん)、岡崎神社があり、そこまで行ったらさらに南下して平安神宮や京セラ美術館に行くのもアリですね。
えりあるは吉田山一周が目的なので元の道に戻ります。
東部 ~別荘群と茂庵~
それでは階段の下まで戻ったら、北東へと向かっていきましょう。右手に住宅街が見えます。ここから東には北白川通が南北に走り、さらに東には哲学の道や大文字山が位置しています。健脚でミーハーな人は真如堂から元のルートに戻らずそのまま哲学の道まで歩いていくのも楽しそうです。
なんだかアビスの香りを感じる宗教の建物を横目に歩いていくと、こんな分かれ道に辿り着きます。
ここを左手前に曲がって階段を登り、「茂庵」の表示のある方へと向かっていきましょう。
しばらく階段を登っていくと、雛壇のように横一列に並んだ、どこか統一感のある家並みが見つかります。これらは大正時代に高級住宅として建築された建物群で、かつては教授などが住んでいたようです。
上でも少しだけ紹介しましたが、吉田山の東は大文字を見るのに最高の場所。特に丘陵地の住宅の2階であれば、何にも遮られることなく楽しむことが出来ます。そのため、ちょっとお金に余裕のある風流な人がこの辺りに邸宅を構えていたと言われています*2。
そんな昔の空気を感じながら歩いていけば、左手から山の中に入っていく細い道が見つかるはずです。ここを臆さず進んでいきましょう。遊歩道になっています。木漏れ日の中にある茶室を横目に見ながら道なりに進んでいくと、風情ある木造建築「茂庵」に辿り着きます。
ここは大正時代の実業家「谷川茂次郎」によって作られた建物群のひとつ。以前は大人気のカフェだったのですが、今年の8月に惜しまれながらも閉店してしまいました。しかしなんと! 11月は完全予約制で営業しているとのこと! NFの土日もまだ席があるようですし、もし気になる方は予約してみてはいかがでしょうか。
北部 ~ハイキングとダイニング~
※後述しますが、えりある的にこのルートは非推奨です。補遺に別ルートを提示しますので、そちらを優先的に考えてよいと思います。
ここからはウィニングラン、いや、ウィニング散歩と言っても過言ではありません。茂庵の敷地を出たら右手に曲がっていきましょう*3。仄暗い山道が続きます。
途中に山頂広場のあずまやがありますので、ここから大文字を見ておくと嬉しい気持ちになれます。その先はひたすら階段を下っていきます。何もなさ過ぎて写真も撮ってません。腐葉土と階段です。山に来た気持ちになれます。
というのも、このルートは(たぶん)上の地図の赤線を通っているのですが、かなり等高線の詰まった所を直交して降りて行っているのがわかるかと思います。つまり、ここは相当な急勾配なんです*4。山を登るのに慣れている人には大したことないかもしれませんが、散歩気分で歩くにはしんどい道のりです。下りなのが唯一の救いでしょうか。
諦めてどんどんと山を下りていけば、車道と鳥居が見えてきます。そこまで辿り着けば、吉田山一周はほぼ完遂したと言っていいでしょう! お疲れ様でした。現在時刻は16時15分。いい感じの時間ではないでしょうか。
これは……!
あくた川流! あくた川流じゃないか!
2020年9月22日にオープンし、それまでの「あくた川=横浜家系」の固定観念を打ち壊した二郎系インスパイアのラーメン店で、京艦同の人間がこれより北や東のラーメン屋に行けなくなったという伝説を持つ、あくた川流! さっき食べログを見たら「あくたがわりゅう」って書いてあったけどTwitterのID的にもメニュー名的にも「ながれ」だと思うあくた川流があるぞ!
うっ!
うわあああああ!!
うわあああああああ!!!
うわあああああああああああ!!!!!
……
…………
…………………
ということでここまでの散歩の消費カロリーを帳消しにしてクスノキ前に戻ってきた所でタイマーストップ。16時43分なので、記録は1時間43分です。感想した完走ですが、終始気持ちよく歩けてよかったです。
補足 ~よりよいチャート構築~
以上で今回使用したチャート紹介は終わりますが、改善案が2つありますので紹介します。
①北参道チャート
今回の北へ下山するルートを非推奨としましたが、北へは別のルートがあります。「北参道」と呼ばれる道で、比較的歩きやすい道になっているはずです*5。こちらを利用する場合、茂庵の敷地を出た道を一旦左に進み、次の分岐で右に進むと合流できます。山頂を経由出来ない欠点はありますが、歩きやすさが多分段違いなので、お好みに合わせて選択してください。同じ場所に辿り着きますので、あくた川流に吸い込まれる部分は共通となります。
②南に戻るチャート
①で別ルートを挙げましたが、そもそも北の方って(あくた以外)そこまで行く理由がないんですよね。ですので、いっそ元の道に戻ってしまおう、というのがこちらのチャートです。茂庵を出てからそのままずっと左の方向へ向かうと、遊具のある公園に辿り着きます。この辺りから南に降りていけば大元宮や本宮の方へ戻って行けます。
そして、折角南に戻るなら見ておきたい場所が2つありますので、ここで紹介します。
1つ目が「逍遥之歌」の石碑です。京都大学の前身である旧制第三高等学校で長らく歌い継がれてきた曲のようです。三高生は「紅もゆる丘の花」から始まるこの歌を、なにかにつけて歌って歩いていたと言われています。
2つ目が「竹中稲荷社」。宗忠神社に行くときに左手に見えた鳥居の先です。小ぶりな神社ですが、公園まで来たらあとは数十メートルなので見ておいて損はないでしょう。
帰りに大元宮前に辿り着いたなら、そこから本宮を経由せず直接西へ降りていくルートもオススメです。こちらは「南参道」と呼ばれており、これまで見た景色とはまた異なる雰囲気の吉田山が感じられるでしょう。下山したら北の方に向かえば大学に辿り着けるはずです。
おわりに
いかがでしたか?今回は吉田山の見所を、実際に歩いたルートをなぞって紹介しました。この他にも興味に応じて面白いと思えるポイントは多数あるでしょうし、季節や時間によって感じることは変わってくると思いますので、自分だけの推しポイントを見つけてもらえたらなと思います。
京都に限らず、その土地に対する知識を持った状態で散歩することは、ともすれば見逃してしまうような景色に意味を持たせ、世界を彩り豊かにしてくれます。ぜひ、自分の足で吉田山を歩き、自分の目で景観を堪能してください。その営みにこの記事がちょっとでも貢献できたなら、えりあるはとても嬉しいです。
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