京都大学艦これ同好会 会員の雑記ブログ

京都大学艦これ同好会は、艦これを通じてオタクとの交流を深める緩いコミュニティです。普段はラーメンを食べています。

ヨコスカに行こう!横須賀市内の近代史跡をご紹介 日本遺産+α

前の記事

kukancolle.hatenablog.com


 

はじめまして。関東より京都大学艦これ同好会に参加させていただいているよ一しです。関東某所にある大学で新3年生をやらせてもらう予定です。執筆時点で本当に3年生になれるのか決まってないのでもしかしたら来年も2年生かもしれません。ちなみに来年で大学入学4年目です。おかしいなぁ……

 

さて、記事を書かせていただけることになって何を書こうかなと考えていたのですが、私は横須賀の観光案内について書いてみようと思います。

 

なぜ横須賀の観光案内を書くことにしたのかというと、そもそも艦これのことで何か書けるほど艦これ詳しくないし、だからといって京大生活の役に立つことも書けない(京大生じゃないので)ってことで、そしたらいっそのこと私の生まれ育った横須賀について書こうと思うに至ったわけです。それに横須賀なら旧海軍ゆかりの地でもあるので艦これに関係するって言えなくもないと思うので……

 

前置きが長くなってしまいましたがさっそく紹介していこうと思います。この記事では主に旧跡を紹介していきます。記事執筆にあたり実際に各所を回りましたが、移動の際はできるだけ公共交通機関を使わずバイクなどを用いる、人混みは避ける、手洗いうがいを徹底するといった新型感染症対策を徹底したうえで行っています。

 

 

日本遺産編

逸見波止場衛門

f:id:rinji_yoshi_39:20210313162101p:plain

逸見波止場衛門

逸見波止場衛門は、旧横須賀軍港逸見門の衛兵詰所です。建築年代は昭和4年から5年ごろと推定されています。JR横須賀駅目の前にあるヴェルニー公園の内部にあり、アクセスは抜群です。数年前の台風の際に左側の屋根が破損し、修復されました。破損して剝がれた建設当初の屋根は横須賀市自然・人文博物館に展示されているのを確認しました(2021年3月11日現在常設展示ではなく特別展示のコーナーにあったのでいつまで展示されているかは不明)。

猿島砲台跡

f:id:rinji_yoshi_39:20210314201719p:plain

うみかぜ公園より臨む猿島

取材に行くつもりだったのですが、新型感染症の対策のため自粛しました。詳細は横須賀市のHPをご覧ください。

www.city.yokosuka.kanagawa.jp猿島は昔よくBBQしにいったりしてました。史跡が素晴らしいはもちろんですが、史跡要素抜きでもとてもいいところです。5年ぐらい前にジブリの世界みたいだって感じで話題になってからとても混雑するようになりました。

観音崎砲台第一砲台跡

f:id:rinji_yoshi_39:20210314194650p:plain

観音崎砲台第一砲台跡

三浦半島にはたくさんの砲台跡がありますが、そのうちの一つです。観音崎にもいくつか砲台跡がありますが(後述)、この第一砲台跡が日本遺産に登録されています。
江戸時代よりいかに外国船の侵入に備えるかが問題でしたが、明治政府は東京湾沿岸に砲台を建設することを陸軍に命じました。そして、明治13年に日本最初の西洋式砲台であるこの観音崎砲台が建設されました。

左右の砲座の間にあるのはレンガ造りの連絡トンネルで、くぐることもできます。この下には弾薬庫があります。

f:id:rinji_yoshi_39:20210314195507p:plain

レンガ造りの連絡トンネル

 

東京湾第三海堡構造物

f:id:rinji_yoshi_39:20210314201611p:plain

うみかぜ公園に保管・展示されている東京湾第三海堡構造物

東京湾第三海堡構造物は、東京湾にかつて存在した東京湾第三海堡から引き揚げられた構造物です。

先に紹介した観音崎砲台と同様に、外国船の対策として築かれました。終戦までに築かれた東京湾の砲台の数は32個にもなりました。このうち、海中の人工島に築かれた砲台のことを海堡といい、観音崎と千葉県富津岬の間に3つの海堡が築かれました。日本では東京湾以外に海堡は建設されていません。

この第三海堡は1892年に建設が始まり、29年後の1921年に完成しました。しかし、完成から2年後の1923年に発生した関東大震災により甚大な被害を受け、除籍されました。その後放置されていた第三海堡はやがて船舶の航行に支障をきたすようになり、2000年から2007年にかけて水深27メートルまでの構造物が撤去されました。引き揚げられた構造物のうち状態がいいものがうみかぜ公園と夏島都市緑地に保存されています。

横須賀市自然・人文博物館内

f:id:rinji_yoshi_39:20210313163135p:plain

横須賀市自然・人文博物館外観

横須賀自然・人文博物館は横須賀中央駅から徒歩15分ぐらいのところにあります。入場料は無料です。ちなみに、グーグルマップで調べると細い道から急な階段を上ってお寺の境内を突っ切るルートを提案されることがありますが、階段きつくて結構大変なので素直に車も通れる道を使うことをお勧めします。

取材のために小学生の頃ぶりに訪問しましたが、想像以上に大きくいろいろな展示がされてて驚きました。今度またゆっくり見に行きたいです。

「ヨコスカ製銕所」「ヨコスカ造舩所」刻印れんが

f:id:rinji_yoshi_39:20210313163810p:plain

横須賀市自然・人文博物館に展示されている「ヨコスカ製銕所」「ヨコスカ造舩所」刻印れんが

横須賀製鉄所で生産されたレンガで、「ヨコスカ製銕所」の刻印がされています。このレンガは建築用レンガで、フランスの規格で作られています。横須賀造船所に名を変えてからは「ヨコスカ造舩所」の刻印がなされましたが、現存数は少ないです。

近代造船所建築図面資料

f:id:rinji_yoshi_39:20210313164458p:plain

横須賀市自然・人文博物館に展示されている近代造船所建築図面資料の一部

横須賀造船所ほか近代造船所に関する建築図面など230点が日本遺産に登録されていて、その一部が公開されています。

横須賀港周辺の絵図

f:id:rinji_yoshi_39:20210313171236p:plain

横須賀市自然・人文博物館に展示されている横須賀周辺の絵図の拡大コピー

(訪問時に現物の展示がされていなかったため、拡大印刷で展示されてたものを掲載します。)

横須賀軍港が描かれた絵図です。当時は観光マップとして出版されました。特別展開催時にのみ公開されています。

スチームハンマー(ヴェルニー記念館内)

f:id:rinji_yoshi_39:20210313173850p:plain

ヴェルニー記念館内に保管・展示されている3トン門型スチームハンマー

f:id:rinji_yoshi_39:20210313175412p:plain

ヴェルニー記念館内に保管・展示されている0.5トン片持ち型スチームハンマー

3トン門型(上側の写真)および0.5トン片持ち型(下側の写真)が日本遺産に登録されています。3トン門型はでかくて写真にとるのが難しいです。

1865年に横須賀製鉄所を作る際にオランダから輸入しました。スチームでハンマーを持ち上げて落とし加熱した金属素材にぶつけて加工します。戦前は横須賀製鉄所、横須賀造船所、横須賀鎮守府造船部、横須賀海軍造船廠、横須賀海軍工廠で稼働し、戦後は在日米海軍横須賀基地艦船修理廠で稼働しました。

0.5トン片持ち型は1971年に横須賀市に移管され、市内の公園で屋外展示されていました。3トン門型は終戦後もしばらくは米軍施設内で稼働し、2000年に横須賀市に移管されましたた。これをきっかけにヴェルニー記念館の建設が始まり、いずれのスチームハンマーも2002年に修復を終えヴェルニー記念館での展示が始まりました。

走水水源地

f:id:rinji_yoshi_39:20210314204229p:plain

走水水源地 煉瓦造貯水池

f:id:rinji_yoshi_39:20210314204300p:plain

走水水源地 鉄筋コンクリート造浄水池

走水水源地は、1876年に横須賀製鉄所の用水としてヴェルニーにより整備されました。煉瓦造貯水池と鉄筋コンクリート造浄水池が日本遺産に登録されています。

煉瓦造貯水池は明治35年に建設されたレンガ造りの上屋付き貯水池で、鉄筋コンクリート造浄水池は日本初の鉄筋コンクリート造の建造物です。いずれも現役で用いられています。
ここから湧き出る水はとてもおいしく、一般利用用の蛇口が設けられていて、持参した容器に入れて持ち帰ることもできます。2021年度に走水水源地は「走水水源地公園(仮称)」として整備され、10月以降通年開放される予定らしいです。

f:id:rinji_yoshi_39:20210315224810p:plain

水を配ってる蛇口

七釜トンネル

f:id:rinji_yoshi_39:20210313175650p:plain

七釜トンネル

七釜トンネルはJR田浦駅の北側にあるトンネルです。田浦駅は南北をトンネルにはさまれており、11両編成のうち前よりの1両半はトンネル内に入ってしまいドアは開かない珍しい構造になっています。そのうち、北側のトンネルがこの七釜トンネルです。特に、真ん中の下り線用のトンネルは明治22年に完成した歴史のあるトンネルす。昔は鎌を失うほど草が茂っていたため、「失鎌(しっかま)」と呼ばれていたようですが、蒸気機関車の「釜を失う」に繋がることから、同じ発音の「七釜」表記が変わったといわれています。

f:id:rinji_yoshi_39:20210313175907p:plain

トンネル内に入ってしまいドアが開かない様子

記念艦「三笠」

f:id:rinji_yoshi_39:20210307200018p:plain

記念艦「三笠」は世界三大記念艦の一つです。1902年にイギリスで建造され、東郷平八郎長官の指揮のもと日露戦争を戦った戦艦「三笠」が保存・公開されています。艦内に実際の品やレプリカを含む多くの展示がされており、三笠の建造から戦争での活躍、退役までのことについて知ることができます。また、三笠が現在の姿で保存されるまでには複雑な経緯をたどったのですが、そのような点についても知ることができます。

三笠は横須賀の鉄板観光スポットの一つです。三笠のすぐ近くには猿島へ行く船が発着する桟橋があり、猿島観光も可能です。また、横須賀中央駅から三笠に行く道沿いにはカレー屋さんがいくつもあり、そこで海軍カレーを食べるのもおすすめです。

 

一般公開されていない日本遺産

一般公開されていなくて取材できなかった日本遺産についてもご紹介だけします。

   →在日米海軍横須賀基地の敷地内にあるため非公開です。

   →在日米海軍横須賀基地の敷地内にあるため非公開です。

   →在日米海軍横須賀基地の敷地内にあるため非公開です。

   →海上自衛隊の施設のため非公開です。一般開放日があります。

  • 千代ヶ崎砲台跡

   →非公開ですが、一般見学できる見学会といったイベントがあります。

  • 走水低砲台跡

   →事前にガイド付きツアーを予約すると見学ができます。

  • 米海軍横須賀基地1号~6号ドック(旧横須賀造船所第一号~第六号船渠)

   →在日米海軍横須賀基地の敷地内にあるため非公開です。

  • 逸見浄水場(緩速ろ過池調整室・配水池入口・ベンチュリーメーター室)

   →非公開ですが、年に数回程度公開されるタイミングがあります。

日本遺産以外編

安針台公園

f:id:rinji_yoshi_39:20210313180109p:plain

安針台公園の外観

一見するとどこにでもある普通の公園ですが、横須賀基地の船が良く見えることで有名な公園です。

f:id:rinji_yoshi_39:20210313180238p:plain

安針台公園から横須賀基地を臨む

奥のほうの休憩スペースから見下ろすとこのような感じで海上自衛隊横須賀基地の船と米海軍横須賀基地の船が良く見えます。

JR横須賀駅を出て踏切を渡り、国道16号線を北に向かい進み、2個目のトンネルの前にある階段を上っていくとつきます。ここで間違えて1個目のトンネルの前にある階段を上ると私有地に突っ込んでしまうので注意です。また、階段を上り、坂道を登っていく途中には横須賀線の有名撮影地があります。

f:id:rinji_yoshi_39:20210313180612p:plain

横須賀線with横須賀基地

写真のように、横須賀線の列車と自衛隊の船を同時に撮ることができます(カメラ持って行ってなかったのでスマホで雑に撮った写真ですがご容赦ください。また、写真は4両編成ですが11両編成だともっと迫力があります)。とても横須賀っぽくていいですね。

f:id:rinji_yoshi_39:20210313180820p:plain

道中からの景色

船もよく見えます。

 

ヴェルニー公園

f:id:rinji_yoshi_39:20210313181020p:plain

ヴェルニー公園

JR横須賀駅の目の前にある公園です。フランス庭園様式で作られています。季節が良いとバラが咲いててとてもきれいです。また、海上自衛隊横須賀基地吉倉桟橋にとまってる船が良く見えます。対岸には潜水艦やドックも見えます。

公園内には陸奥の主砲やヴェルニー記念館、逸見波止場衛門(前述)があります。

f:id:rinji_yoshi_39:20210313181419p:plain

陸奥の主砲

f:id:rinji_yoshi_39:20210313181535p:plain

ヴェルニー記念館

また、横須賀近代遺産ミュージアムティボディエ邸の建設も行われています。これは、横須賀製鉄所副首長のティボディエ氏の官舎を模した外観の館内に横須賀の近代の歩みを展示するミュージアムです。2021年5月以降に開館予定とのことです。

f:id:rinji_yoshi_39:20210313181649p:plain

建設途中の横須賀近代遺産ミュージアムティボディエ邸



観音崎公園

f:id:rinji_yoshi_39:20210315230925p:plain

観音崎公園入口

観音崎公園は横須賀の東部、東京湾に突き出るような位置にある公園です。園内には砂浜・岩場・植物など様々な自然が分布しています。海水浴やBBQ、釣りなど様々なアクティビティも楽しめます。エリア内には博物館や美術館もあり、1日では味わいつくせないほどです。ここではそのなかでもいくらかピックアップして紹介したいと思います。

f:id:rinji_yoshi_39:20210315232000p:plain

観音崎灯台

観音崎灯台は、日本最初の洋式灯台です。初代はヴェルニーにより建設され、現在の灯台は3代目です。中に立ち入ることもできますが、取材のために訪れたときはは緊急事態宣言下であったため立ち入ることはできませんでした。最新の情報はHP等をご覧ください。

f:id:rinji_yoshi_39:20210315233403p:plain

切通から観察する三浦層群池子層


また、観音崎には多くの露頭があります。実はわたくし地学系の学部に在籍しているため地質の話とか語れないといけないはずなんですけど何もわからないので不用意は発言は避けておきます。とりあえず地層はなんだかすごくてかっこいいですね(小並感)。

f:id:rinji_yoshi_39:20210315234419p:plain

園内にあるレンガ造りのトンネル

f:id:rinji_yoshi_39:20210315234633p:plain

歴史のありそうなトンネル(通行不可)

また、園内は戦前に砲台として用いられていたため、歴史を感じることのできるものが多数残されています。先に紹介した第一砲台跡以外にも砲台跡が多数あります。

f:id:rinji_yoshi_39:20210315235009p:plain

第二砲台跡

 

園内の標高が高く見晴らしの良い場所には戦没船員の碑があります。

f:id:rinji_yoshi_39:20210315235212p:plain

戦没船員の碑

戦没船員の碑は、戦後25年が過ぎた1971年に戦前に失われた6万人以上の船員の慰霊のために建てられました。

陸軍桟橋

f:id:rinji_yoshi_39:20210307202026p:plain

 

陸軍桟橋は太平洋戦争終了後に南方や中国大陸からの引き揚げ者56万人が上陸した桟橋です。「浦賀港引揚記念の碑」もあります。

f:id:rinji_yoshi_39:20210307202423p:plain

浦賀港引揚記念の碑

浦賀ドック

f:id:rinji_yoshi_39:20210316012708p:plain

浦賀ドック

浦賀ドックは多数の日本海軍の艦船、とくに駆逐艦を建造した造船所です。戦後も海上自衛隊向けの艦艇建造を行い、2003年に閉鎖されるまで多数の建造を行ってきました。現存するドライドックは世界に4個しかないためとても貴重なものです。周囲にはクレーンなども残されており、まとめて近代化産業遺産になっています。現在はほとんど放置されている状態ですが、2021年3月に現在所有している住友重機械工業から横須賀市に無償譲渡されるとのことです(記事執筆時現在)。

f:id:rinji_yoshi_39:20210316013736p:plain

クレーン

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございました。今回は主に海軍に関係ある旧跡について紹介しましたが、横須賀にはここで紹介しきれなかった名所がたくさんあります。ぜひ機会がありましたら足を運んでいただければと思います。また、いつでも横須賀の案内しますので横須賀にくるときにはぜひ声かけてください。

参考文献

日本遺産 横須賀市の構成文化財一覧 (2021年3月7日閲覧)

名所・旧跡|観光スポット|横須賀市観光情報サイト「ここはヨコスカ」(2021年3月7日閲覧)

護衛艦を手っ取り早く撮影したい人向けマップ(横須賀編) : K-BLOG(2021年3月7日閲覧)

逸見波止場衛門|横須賀市(2021年3月7日閲覧)

観音崎砲台ガイド(2021年3月14日閲覧)

ヴェルニーの水【横須賀市上下水道局】(2021年3月16日閲覧)

地層の観察 神奈川県内の露頭(2021年3月16日閲覧)

観音崎の地層(2021年3月16日閲覧)

 


次の記事

kukancolle.hatenablog.com