京都大学艦これ同好会 会員の雑記ブログ

京都大学艦これ同好会は、艦これを通じてオタクとの交流を深める緩いコミュニティです。普段はラーメンを食べています。

「東方アレンジ楽曲紹介 FELT編」だった何か

前の記事

kukancolle.hatenablog.com


 

————苦く 甘い 儚い記憶 幾度 そこへ辿り戻っても————

 

「ふう、買い物をしていたらすっかり遅くなってしまったわね」

 すでに日は沈み月が東の空に明るく輝くなかを私はゆっくりと帰路についています。

「いい牛肉が手に入ったことですし、今日のお夕飯はじっくり煮込んだビーフシチューね」

 お嬢様の喜ぶ顔を想像するだけでこちらも顔がほころんでしまいます。

お屋敷に戻ってきた私を出迎えたのはこの館の主たるレミリアお嬢様でした。

「遅いじゃない咲夜!もうおなかがペコペコよ!」

「ごめんなさい、お嬢様。八百屋のご主人との会話が思いのほか弾んでしまったもので。すぐに作りますね」

 そういうと私はポケットから懐中時計を取り出します。カチッ。その音と同時に私以外のあらゆるものが動きを止めました。

「さてと、総調理時間は一日くらいかしら。お嬢様、少しだけお待ちくださいね」

 目の前で静止しているお嬢様にそう声をかけると私は買ってきた食材を手に厨房へと向かいました。

 

「ん・・・・・・、あれ、私眠っていたのかしら・・・・・・」

 シチューを煮込んでいる間に椅子に座って休んでいたらいつの間にか意識が飛んでしまっていたようです。窓の外には眠る前と変わらない月が煌々と照っています。

「シチューはもうできたかしら・・・・・・、もうちょっとかかりそうね」

 あと一時間は煮込まないといけないと判断すると、再び椅子に戻ります。何をするでもなくぼんやりとの外を眺めながらたわいもないことに想いを馳せていました。

 

 これまでお嬢様と過ごした日々。紅魔館に来てメイドとなって、お嬢様と苦楽を共にしてた日々。妹様や美鈴、パチュリー様などの方々とのにぎやかで楽しい、悠久のような日々。楽しかった日々に想いを馳せているといつか終わりを迎える未来が少し怖くなってしまいます。

 

「あら、もうこんなに経ったかしら」

 そんなことを考えていたらいつの間にかシチューが出来上がっていました。配膳を済ませると私はまた懐中時計を取り出しました。

「お待たせしました、お嬢様」

「いい匂いじゃない!咲夜、早速食べるわよ!」

 止まっていた時間が動き出し、食堂へ飛んでいくお嬢様。その背を眺めながらお嬢様の後を追います。セピア色に染まる過去もいつか変わっていく未来も、すべて振り払って今を生きていこう。お嬢様と過ごす幸せな今をかみしめながら、私はそう決意したのでした。

 

 

 皆さまこんにちは、古明地ステラと申します。本当は山風で一本書く予定だったのですが急に気分が変わったので今回は東方アレンジサークル、FELTの話をします。

 

 先に読んでいただいた文章はFELTの『TODAY』という曲の紹介文だった何かです。

『TODAY』はFELTの30番目のアルバム『Last Wink』に収録された曲で、テンポのゆっくりな落ち着いた曲調の曲です。オルゴール調のメロディーと美歌さんの心に響く歌声の組み合わせが非常に心地よい一曲となっています。

 

http://youtube.com

 

 

 FELTは先日過去の作品を日に1曲ずつYouTubeアーカイブすること、及び次のイベントを以てサークル活動を終了することを発表されました。ファンの私としては解散は非常につらいのですが、公式自らYouTubeに曲をアップしてくれることで布教のハードルが大きく下がりました。この記事では数々の素晴らしい曲のうち特に好きな3曲を紹介します。

 

・・・・・・と思っていたのですが、いざ曲を聴きながら書いてみたら、何故かSSのような何かができてしまいました。どうしてこうなった。

 

・Prayer Blue

 

 信仰を求めて元の世界から幻想郷にやってきた早苗。新しい世界への期待、それと同じくらいの不安、風祝としての重圧、親しい人との別離の悲しさ、いろいろな感情をかけていたことでしょう。けれど風祝として、現人神として崇め奉られていた自分を幻想郷の人々は普通に受け入れてくれました。そんな中幻想郷で生活するうちに早苗にも変化が起こります。風祝として丁重に扱われているうちに忘れていた「普通の少女」としての自分をちょっとだけ思い出していったのです。

 

 ある日の朝、まだ日も明けないうちから境内の掃除をしていた早苗はふとその手を止め、まだ仄暗い空を見上げて想いを馳せます。元の世界に遺してきた大事な人のことを、これから起こるであろう非日常的な異変のことを、そして私たちが幻想郷に来た直後に起こしたあの騒動のことを。大変なこともつらいことも、これまでもたくさんあったしこれからもたくさんあるのでしょう。それでも私はもう大丈夫だと祈るように、誓うように、まだ暗い空で輝く星へと手を伸ばしたのでした。

 

 

 この曲は風神録の『信仰は儚き人間の為に』のアレンジです。有名なフレーズがイントロに配置されていて冒頭からさわやかなメロディーが楽しめます。冬の夜明け前の空気のような舞花さんの透き通る声が素晴らしい一曲です。

 

 

・Story

 

 ある日の夜、いつものように仕事をしていた私咲夜はふと手を止めて窓の外に目を向けます。煌々と輝く月と月明かりに照らされる花に見惚れた私はふと今の幸せな時間に想いを馳せます。

 

 私を見出してくれたお嬢様、無邪気でかわいらしい妹様、大図書館のパチュリー様と小悪魔、軽妙なやりとりをしてくれる美鈴、それに私を慕ってくれるたくさんの妖精メイドたち。私は色々な人に囲まれてとても幸せです。こんな色鮮やかな日々がいつまでも続けばいいのに。決してかなわない願いと分かっていてもそう願わずにはいられません。

 

 さて、そろそろ仕事に戻らないと。私は小さく頭を振ると窓から離れます。窓の外では月が、星たちが、庭の花たちが、私たちを祝福するようにキラキラと輝いていました。

 

 

 

原曲は花映塚より咲夜さんのテーマで『ナイト・オブ・ナイツ』などで有名な『フラワリングナイト』となっていますが、その特徴的なメロディーは後奏にさりげなく残しつつNAGI☆さんによる大胆なアレンジが魅力です。ボーカルの美歌さんは温かい歌声と包容力のある歌い方が心地よく、特にサビの部分のきれいな高音は必聴です。

 

 

終わりに

今回は3曲に絞って紹介(という名のSS)を書きましたが、このサークルにはほかにも素晴らしい曲がたくさんあります。特にインスト曲やもう一人の主要ボーカルであるVivienneさん、セルフリミックス楽曲などには一切言及できていません。もしFELTに興味を持たれた方はぜひ以下のリンクから様々な曲を聴いてみてください。きっとあなたの気に入る一曲があるはずです

 

 

 

http://feltmusic.net

 

 


次の記事

kukancolle.hatenablog.com