京都大学艦これ同好会 会員の雑記ブログ

京都大学艦これ同好会は、艦これを通じてオタクとの交流を深める緩いコミュニティです。普段はラーメンを食べています。

伊予灘ものがたりに乗ってみた

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 こんにちは!神戸大学3回生のまさやんです。今回は私の地元の愛媛県に帰省するついでにJR四国の観光列車の「伊予灘ものがたり」に乗ってきたのでそれについて書こうと思います。

 なぜ鉄オタでもない私がこれに乗ろうと思ったかというと食事がおいしそうで景色がきれいそうでだいぶ前から気になっていたからです!

 

 さて、そんな私が今回乗ったのは伊予灘ものがたりの4つある旅程のうちの一つの「双海編」です。この双海編は伊予大洲を10:56に発車し、伊予長浜、下灘などの駅に停車しつつ、松山に13:11に到着する旅程です。お昼時ということもあり、これが一番食事が美味しいと思ったのでこれを選びました。

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双海編の旅程(双海編|4つの旅とお食事|観光列車「伊予灘ものがたり」 - JR四国 (http://iyonadamonogatari.com)から引用)


 私の実家から伊予大洲駅はちょっと遠いため、特急いしづちで松山に向かいそこで特急宇和海にのりかえて向かいました。

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特急いしづち(左)と特急宇和海(右)

 伊予大洲駅には乗車時刻のだいたい1時間前についたので駅前になんか見るものないかと歩き回ったのですが観光案内所以外何もなかったため、大洲城をみにいこうと思ったのですが駅から2kmと微妙に遠かったので止めました。

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伊予大洲駅の駅舎

ちなみに大洲は伊予の小京都らしいです…

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そうこうしているうちに我々の乗る電車が到着しました。左が1号車茜の章で右が2号車黄金の章です。

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 ドラムを叩いたことがある人なら一度は見たことがあるであろう物に引っ付いたアルコールで手を消毒してから乗り込みました。

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 走り出して割とすぐに私が楽しみにしていた食事がよさげな木の箱に入ってでてきました。お品書きは撮り忘れました…

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 因みにこいつら5000円するのですがそれに見合っただけの味でめっちゃおいしかったです。食事が食べたい人は乗車日四日前までにみどりの窓口で食事予約券を買うようにしましょう。

 

 食べてると列車は伊予長浜に止まりました。熱帯魚は雪に焦がれる(はにがれ)という漫画の聖地らしいですが雨が降っていたので降りませんでした。

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https://amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4048934708/nataliecomic-22から買えます

 しばらくすると喜多灘駅に来ました。なんでも市境が駅のホームにあるらしいです。

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  今度は串駅付近の鉄橋に来ました。列車の窓から海が見られます。また、ここを渡っているシーンはこの列車の宣材写真にもなっています。

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右はhttps://iyonadamonogatari.com/plan/ozu.htmlから引用

 この鉄橋を通過すると青春18きっぷのポスターにも使われたことのある下灘駅に着きました。日本一海に近い駅と称されることもあり、とても眺めがきれいです。もっとも、私が行った日は雨でしたが…

 またラブラブベンチなるものも置いています。

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 次は伊予上灘駅です。猫と犬の駅長が出迎えてくれました。

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 ここから電車はスピードを上げて終点の松山駅に到着しました。楽しみにしていた食事も景色も想像以上に素晴らしくとてもいい旅になりました。

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松山駅の駅舎(左)と構内のバリィさん(右)

 

 最後に帰省および伊予灘ものがたりへの乗車は緊急事態宣言が解除された後に行っていることを申し添えておきます。

 

 これで記事はおしまいです!艦これ要素のかけらもないのに読んでいただきありがとうございました!最後に伊予灘ものがたり公式サイトのURLを貼っておきますので気になった人はぜひ確認してみてください!それではまた!

観光列車「伊予灘ものがたり」 - JR四国 (http://iyonadamonogatari.com)

 


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デレステ曲の歌詞を読もう~八城雄太編~

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 こんちは.Cu*1です.

 今年の新歓ブログはシャニマスのお話が多すぎるので,中和の意味を込めてデレマスの話をします.

 デレマスといえば圧倒的アイドル数!ということでアイドル紹介をする……というわけではなく,圧倒的デレマス曲(?)の歌詞を紹介します.私に音楽的素養がないから,歌詞の考察しかできなかったからです.歌詞の紹介のほうがわかりやすいと思ったからです!

 今回(なお次回は未定)は特に八城雄太さんが作詞した曲を紹介していきます.理由は単純で,記事を書くために選んだ最初の2曲が彼の曲であったので,染めることにしました.清一色です.

 誰でも該当のフレーズが聞くことができるように,デレステ*2に実装されている楽曲の,実装箇所から引用は行います.

 

注意:あくまでもこれらは私の解釈です.解釈不一致等はご了承ください.「作詞の人そう考えてないよ」ということが分かっても知りません.あくまでも私の読みです.

 注意:歌詞は基本的にデレステの歌詞表示機能から拾っています.もし歌詞の「!」抜けや,ひらがなカタカナ漢字の違いがあったらごめんなさい

 

Kawaii make MY day!

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 この曲はメロウ・イエロー(中野有香水本ゆかり椎名法子)による曲です.タイトルの「MY」は,ユニット名のイニシャルでもあります.オシャレをしてKawaiくなりたい女の子の気持ちを歌った曲となります.この曲の歌詞のどこが「上手い」のかというとサビの

ああ ちょっぴりまつげが重たいな

それなのにお空が明るくなった

きっと大丈夫!

リップは晴色

スキップも軽いよ

です.前半の歌詞は,目元のお化粧*3についての描写です.つけまつげやアイプチを試したのでしょうか.そうでなくともアイシャドウやアイライナーと「まつげ」まわりにほどこす化粧はそこそこあるものです.曲の前半では

鏡の中の自分が「変わりたい!」 そう言ってるから

あの手この手で リノベーション

とありますので,特に気合を入れて化粧をしたのでしょう.普段よりも「まつげ」は「重たい」のです.ここに逆説の「それなのに」という歌詞が続きます.これは神の一手といえます.たったの5文字でオシャレした彼女の感動がどれほど強いものであったのかがわかります.「お空が明るくなった」ということは,視界が広まったということです.目元は「重たい」けれども,オシャレで自身が持てたのでしょう,文字通り「視界が開けた」のです.オシャレによって心が軽くなったことは,「スキップ軽いよ」という歌詞からもわかります.空だけではなく,自分自身も明るくなっていることが「リップは晴色」というフレーズから伝わってきます.また,これらは「リップ」「スキップ」という単語の音としての軽やかさ・明るさが,さらに強く印象づけています.飛び上がってしまいそうな彼女の感情が,演奏時間としてはたった数秒で流れ去る歌詞に,美しく表現されているのです.

 本当は2番のサビもすばらしさも書きたいところですが,2番はデレステで聞けないので書きません.CDを実際に購入して聞いてみてください(ダイマ).「ほんの5cmだけ空中散歩」という箇所が,実際に歌詞では登場しないハイヒールの存在をなんでもないです.

 ところでこの歌詞を書いた方は八城雄太さんですからね.男性の方ですからね?

  

ガールズ・イン・ザ・フロンティア

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 デレステ3周年記念曲です.この曲のMVは,これまでに登場したデレステ曲のMVが映ったり,MVで登場したセットが出てきます.これらを思い出ボムと表現することがあります.思い出ボム,Pは死ぬ.

 この曲の歌詞ですが,そもそものゲームのタイトルが「シンデレラガールズ」であるということを踏まえたものとなっています.私が初めて聞いたときは,タイトルに喧嘩を売っているように感じました.さて見てみましょう.

 歌いだしは

お気に入りだったフェアリーテイル

なぞるように生きてきたけれど

幸せの そのイメージは

今では もうホコリかぶりで

となります.「フェアリーテイル」とはシンデレラのことでしょう.シンデレラといえば,真面目に働いてきた少女がその努力を認められ幸せになるという筋書きです.いきなりシンデレラという物語を否定しています.これは努力の否定ということでしょうか?歌詞はこう続きます.

窓の外 瞬く星が

悔しいくらいに眩しいから

手を伸ばし 強く願うよ

舞踏会より煌めく場所

シンデレラ・コンプレックスという言葉をご存じでしょうか?デレマスのBE MY BABY*4関連MAD……ではなく,自分の人生をガラリと変えてしまうような「王子様」の出現を夢想する女性心理を指します.*5シンデレラは努力が報われた像であると同時に,自分の領域を越えた圧倒的存在によって初めて救われた像でもあるのです.ここで「願う先」がシンデレラにおけるキーとなった「舞踏会」ではなく,それより「きらめく場所」に変わってしまいます.これは,シンデレラというテイルにおけるハッピーエンドの条件が「見つけてもらうこと」だと気付いたことへの絶望だとも言えましょう.だからといって,シンデレラを否定しているわけではないのです.この後の歌詞は

待っていても手には入らない

本当の宝物は

叫ぶよ 'Cause I love you

自分の言葉で

拓け!

バックパックに希望つめて

自分の足で歩け シンデレラ

夢は人に託すな

かけがえない権利

となります.漠然と受け身で魔法を待つシンデレラではなく,自ら幸せを掴みに行くシンデレラになるというアイドルの意志なのです.

 お仕着せの幻想 捨てて

新たな地平へと飛び出そう

守るべきは過去じゃない

ずっと Stay at the frontier!

とサビは続きます.あまりにも力強い歌詞です.もはや待つだけのシンデレラは自ら歩き出し,遠くに行ってしまったようにも感じられます.そうです.プロデューサーからの卒業を感じずにはいられないのです.しかし,これは否定されます.「'Cause I love you」という歌詞の対象を考えてみれば,この歌詞は独立の歌ではなく,いわば「並立」の歌詞なのです.アイドルが「自分の足で歩」く動機付けが「'Cause I love you」なのですから.書きすぎたのでこの曲はこの辺で.

 

Go Just Go!

www.nicovideo.jp

 デレステ5周年記念曲です.テレビCMで聞いた方も多いかも.歌詞とは関係ないですが,作成陣の面子が強すぎます.作詞・八城雄太,作曲・田中秀和,編曲・Taku Inoueです.*6歌詞とは関係ない余談2ですが,この曲のMVではセンターがアピールするシーンがあるのですが,設定したセンターのアイドルによってアピールが変わります.ちなみにデレステに登場するアイドルは200人弱です.

 この曲がテーマとなったときにイベントのストーリー*7は,アイドルたちがバカンスに行くというもので,曲自体もそうした雰囲気があります.イントロで「Go! Just go! Just enjoy it!」というフレーズがありますが,これを実際に聞いてみると「ゴージャスゴージャスエンジョイ!」となります.「ゴージャス」という音は作為的なものでしょう.実際にサビの後に

ああゴージャスなゴールド

そうコンシャスなコースト

めくるめくるパラダイスならここでいいじゃない

というコーラスがあります.ここは「Go! Just go!」を抜きにしても,言葉の音として大変楽しい歌詞です.文字で書き起こしてみると,見るだけで綺麗です.

 さて,(デレステ版の)歌いだしは

ぼくらはいつも きっかけ欲してるんだ

夢とか恋とか始めるタイミング

です.これにどのような歌詞が続くのかというと

暫定的に太陽のせいにして Say love it

となります.バカンスという文脈を最大限生かした「太陽」のキャスティングですが,これは同時に「太陽という普遍的なもの(後述する歌詞の「太陽は沈まない」から強く印象付けられる)をきっかけにすること=夢や恋に特別な理由付けはいらない」というメッセージも感じられます.ちなみにこの曲のセンターは夢見りあむです.なんだかグッと来ますね.サビの歌詞には

太陽は沈まない

ムゲンに遊ぼう

足りないなら

埋めてあげるよ

とあります.ここでも接続詞が火を吹いています.砂に体を埋める海ならではの遊び,皆さんもやったことがあるでしょう.曲の終盤では

遊びまくっちゃって

太陽はもうてっぺんだ

いちばんかわいい

わたしだから

見飽きないでしょ

足りないなら

埋めてあげる

という歌詞が登場します.「太陽はもうてっぺんだ」という箇所から相当遊んでいることはわかりますね.「一番かわいい私だから見飽きないでしょ」と歌うことで,「無限に遊」ぶ相手の存在を強調し,ただ「太陽は沈まない」だけではないバカンスを表現しています.そして「足りないなら埋めてあげる」と追撃するのです.歌の最後は

Go Go Just Go Yeah!

テンションは天井知らず

上昇気流だ

愛の雲をもくもくして休んだら

またね 遊ぼう

 と締めくくられます.このフレーズの上手さは雲の出現が歌詞の流れから見て,必然性を持っていることです.高ぶるテンションから「上昇気流」の連想は見事としか言えません.そしてトドメの「またね 遊ぼう」は最高の締めです.なぜなら,「太陽は沈まない」ことが「無限に遊ぼう」の根拠ですから,太陽を覆いつくす雲はある意味で遊びを止め休憩する理由になります.こうして「またね」の存在が自然になるのです.

 実はデレステ版では登場しないフルverの歌い出しの美しさにも言及したかったのですが,デレステで聞けるところだけを紹介というわけなので,この辺で筆をおきます.

 

おわりに

 いかがでしたか?この記事を読んで気になった方は是非デレステをインストールして曲を聞きましょう.艦これ?えーっと.

 八城雄太さんの他の詩ですが,『メルヘン∞メタモルフォーゼ!』が個人的に好きです.未実装曲であることと,これを歌うウサミンというキャラクターの説明が不可欠であることから紹介はしませんでしたが,素晴らしい曲なのでデレマスを始めてウサミンをそこそこプロデュースしてから聞いてみてください.また『Twin☆くるっ★テール』という曲の歌詞も傑作です.特にサビには「いつかは門限が来るんだ 夕焼け切なくなる前に」という素晴らしいという言葉では不十分なほど素晴らしいフレーズが登場します.こちらはデレステに実装されているので是非.さらに『Smi……え……またしゃべりすぎてしまいますね.やめます.

 八城雄太さんの曲の歌詞は,どれもそこにその言葉が入るという「必然性」を感じさせる素晴らしいものばかりです.是非皆さんも聞いて,見てください.それじゃあ,またね,遊ぼう.

 

パート2はこちら

デレステ曲の歌詞を読もう~八城雄太編2~ - Cuさんのオタク日記

 


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*1:某京大学所属です.実質京大w!

*2:デレステ」と「デレマス」は何が違うのか念のため説明します.「デレマス」はアイドルマスターシンデレラガールズというコンテンツの総称です.「デレステ」は,デレマスの音ゲーであるスターライトステージのことを指します.また,現在配信されているデレマスのプロデュース(プロデュースですからね)をメインにしたアプリは主に「モバマス」と呼ばれます.

*3:私は男なので化粧の理解は怪しいので,用語の間違いは寛容なる心で眺めていただけたら助かります.ちなみに京艦同にはコスプレをされている方が複数いらっしゃるので,興味のある人は是非入会してお話を聞いてみてください.

*4:『BE MY BABY』はCOMPLEXの名曲で,ニコニコ動画において,MVの吉川晃司と布袋寅泰の顔をそれぞれデレマスの安部菜々佐藤心にした雑コラ動画がブームを巻き起こしました.去年大ブレイクした『たべるんごのうた』の先輩のような立ち位置です.

*5:男女差別ではないです.定義がこうなので.実際のところ,男性にもこれに似た願望はあると思います.オタク的文脈では,ハルヒ・コンプレックスと名付けてみても面白いかもしれません.

*6:私の友人は初見で「秀和?にイノタクも入っている?」と感じたそうです.作曲者の個性が強いということですね(雑).

*7:なおこのコミュでは我らが夢見りあむが最大火力で炎上発言をラッシュします.相変わらず暖かいですね.

セフィラコア抑制解説書

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 こんばんは、真太郎です。

 この記事ではsteamにて配信されているゲーム「LobotomyCorpolation」のセフィラ抑制について解説していこうと思います。

 

 

・マルクト

クリア条件:暴走レベル6到達

 

妨害内容:作業がランダムに入れ替わる(クリフォト暴走発生時再度シャッフル)、作業取り消し不可(暴走レベル4到達後)

 

報酬:獲得LOBポイント上昇、移動速度バフ

 

解説:作業がランダムで入れ替わってしまうため、暴走発生ごとにどの作業がどの作業になっているか確認する必要があります。そのため、各作業の評価が均等なアブノーマリティを収容しておくと楽になります。銀河の子・罪善・ハゲ・妖精の祭典あたりがおすすめです。報酬は正直微妙です。

 

要注意アブノーマリティ

・「何もない」:作業結果が悪いと即死するのですが、抑圧が最低評価のため指示した作業が抑圧になっているとほぼ即死です。作業特定する前に「何もない」の作業をするのは避けたほうが無難です。

 

 

・イェソド

クリア条件:暴走レベル6到達

 

妨害内容:画面の解像度が下がり、職員の名前およびステータスが確認不可能になる

 

報酬:生成PE-BOX25%上昇

 

解説:目に悪いセフィラです。正直苦労することはありません。基本的に似たステータスの職員はチームを固めておくと良いでしょう。報酬は微妙です。

 

要注意アブノーマリティ

・小さな王子、幸せのテディ、美女と野獣:ログが見えなくなるため、続けて作業すると即死させるアブノーマリティは危険です。

 

・ホド

クリア条件:暴走レベル6到達

 

妨害内容:ステータス低下(初期-15、暴走2到達時-25、4到達時-35)

 

報酬:新規雇用職員の初期ステータスがランクIIIスタート、ネツァク抑制解放

 

解説:単純にめんどくさい抑制です。大きくステータスが下げられてしまい、基本的にホドの抑制時はステータス上限の都合低下後もランクVを維持するのは困難です*1。また移動速度が下がるため深紅の黎明・紫の黎明には注意が必要です。可能であれば、あなたは幸せでなければならないを収容しておきたいところです。報酬は神です。

 

要注意アブノーマリティ

・蒼星:ALEPHの良心とも名高いアブノーマリティですが、ホド抑制時は鬼と化します。基本的にステータスがIVやIIIになってしまうため、こいつの作業をするとカウンターが下がる可能性が高いです。こいつを収容してホドを抑制する場合は、あなたは幸せでなければならないを収容するか、蒼星を教育チームに収容するようにしましょう*2

・規制済み:だいたい上と同じ理由です。まあこっちはエージェントランク参照で、全ステIVでも問題ないのでまだマシです。

 

・ネツァク

クリア条件:暴走レベル6到達

 

妨害内容:リアクター及び他の手段での回復一切不可*3

 

報酬:リアクター回復が廊下へ影響

 

解説:特に問題のない抑制です。連続作業だけしないようにすればいいでしょう。報酬は宇宙です。

 

要注意アブノーマリティ

・地獄への急行列車:使用しても何も起きないうえ使用を忘れるとやばいただのゴミになります。

・肉の偶像:使用しても何も起きないうえ終了指示を出し忘れるとやばいただのゴミになります。

 

・ティファレト

クリア条件:暴走レベル10到達

 

妨害:抑制済みチームの暴走再発生

 

報酬:PALEシールド弾、弾丸数25%増

 

解説:いつも通りの作業をすればいいだけです。もはやセフィラ抑制ではありません。一応深夜試練を相手する必要がありますが、無視していっぱい作業して終わらせることも可能です。なお他の暴走と異なりティファレト抑制中は中央本部第二にも暴走が来ます。報酬はそこそこありがたいです。

 

要注意アブノーマリティ:なし

 

・ゲブラー

クリア条件:「赤い霧」の鎮圧

 

報酬:最大生成数4以下のEGOの生成数1増加*4

 

解説:赤い霧の鎮圧をこなすとクリアとなります。火力がバカみたいに高いため、回避指示はしっかり出しましょう。なおシェルターを収容していると入っているだけでそのうち勝てます。報酬は宇宙です。

 

要注意アブノーマリティ

・白夜:戦闘に集中しすぎるあまり作業を忘れると終わります。また基本的に暴走レベルを上げることがないため過負荷がきつくなってしまいます。一方シェルター戦法をする場合は味方になります。

 

・ケセド

クリア条件:暴走レベル8到達

 

妨害:特定属性ダメージ5倍(始め1、暴走3到達時2、6時3種類5倍。暴走発生のたびにシャッフル)

 

報酬:オフィサー含む職員死亡時25%の確率で復活

 

解説:面倒な妨害です。一部のアブノーマリティは作業すること自体がリスクとなってしまうため、収容アブノーマリティの作業ダメージが偏っていると非常に面倒なことになってしまいます。報酬はない方がマシです。処刑弾以外の方法でのオフィサー処理が安定しなくなるためです。

 

要注意アブノーマリティ

・規制済み:黒5倍ダメージ時は非常に厄介な存在となります。多分規制済みが最も輝く瞬間となります。対抗策としては、規制済みを暴走の来ないチームに置くこと、いっそのこと暴走完全無視で脱走させてから鎮圧することが挙げられます。

 

・白夜:青5倍ダメージ時がやばいです。こいつは作業を強要されるため、基本的に青が等倍になるのを祈りましょう。

 

・ホクマー

クリア条件:暴走レベル10突破

 

妨害:一時停止使用時使用回数に応じて職員が死亡orパニック、ゲーム速度固定(基本等倍、暴走7到達時1.5倍、10到達時2倍)、抑制済み部門で暴走発生

 

報酬:職員新規雇用時ステータスをEXまで強化可能、ステ上限130まで上昇

 

解説:一時停止を使用不可にするアブノーマリティはいますが、こちらは制限されていないがゆえに面倒です。誤って一時停止したらリセットです。またティファレトと異なり実質的に深夜試練を突破する必要があり、しかも1.5倍速か2倍速を強制されるため紫を引いた日にはもう絶望するしかありません。そもそも琥珀の夕暮ですら危険です。なお下層セフィラは基本的にビナーから抑制するべきです。なぜならビナーから抑制することでホクマー抑制時に発生する暴走が減るためです。報酬は流石の下層です。

 

要注意アブノーマリティ:すべて危険

 

・ビナー

クリア条件:調律者の鎮圧

 

報酬:職員死亡時のEGOロストが無し

 

解説:戦い方は3通りで、

1.特殊暴走を無視して耐性の上から殴る

2.特殊暴走を対処しつつ職員で殴る

3.職員は特殊暴走に集中しウサギチームで殴る

があります。

 1は少数職員縛りをする場合に使用される戦法です。基本的には取りません。

 2はオーソドックスな戦い方で、少数の職員で調律者を殴りつつ他の職員は調律者の起こす特殊暴走に対処します。なおこの際、調律者を殴る職員の装備は近距離射程の物を使うと攻撃が回避しやすいです*5。但しそこそこの移動速度があるので、可能な限り「笑顔」を用意しておきましょう。

 3は楽に鎮圧したい場合におすすめです。調律者はなぜかウサギチームに攻撃しないとされているため、ほぼ確実に鎮圧してくれます。但し稀に鎮圧していないのにウサギが帰ってしまうことがあるようです。そのため一部職員は保険で殴る待機をさせてもよいでしょう。

 報酬は正直微妙ですが、ホクマーの欄にも書いた通りこちらから抑制するべきです。

 なおこれは余談ですが、出現した瞬間の調律者は耐性が各0.8になっています。ビナー抑制時は関係ないですが、49日目には使える小技です。

 

要注意アブノーマリティ

・使用即中断出来ないツール:多数の暴走に対処する必要があるため、こちらが使用時間などを確認しないといけないツールはしんどいです。

・古い信念と約束、巨木の樹液:すべての特殊暴走に対処する必要があるため普段からゴミのこいつらのゴミ度が尋常ではなくなってしまいます。

・その他管理が面倒なアブノーマリティ

 

・終わりに

ここまでお読み頂き有難うございました。この記事を読んだ皆様が無事セフィラ抑制できることを祈っています。

 


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*1:ランクV維持にはステータスが120必要。ホド抑制前にホクマーミッションをクリアする変なプレイをしなければこの時点でのステ上限は100+肩書のため、120にするにはギフト必須

*2:抑制中のセフィラのチームには暴走が来ないため、蒼星の作業をしなくてもよい

*3:暴走レベル上昇時に全回復、暴走レベル2まではリアクター回復速度半減

*4:鎮圧後入手系は除く

*5:調律者の攻撃は全て超長距離攻撃のため、後ろに回り込みやすい近距離武器の方が有利

実録!ほんとにあったガバい話

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どうもみなさん、初めまして。そうでない方はお世話になってます。ダウトと申します。着任が2015年春、京艦同入会が2016年秋でラバウル基地サーバー在籍、無理しない範囲でまったり遊んでおります。嫁艦は電、文月、山風です。

さて、本日の京艦同ブログのテーマはズバリ「ガバ」です。京艦同内ではプレイング上のミス、いわゆるプレミをガバと呼んでおります。今回は色々なガバとその原因について紹介していこうと思います。着任/復帰したばかりという方にはぜひ読んでいただいて今後気を付けていただければと思います。

 

さっそく内容に……といいたいところですが、一応注意点があります。本日の記事ではテーマの性質上、轟沈(キャラロスト)に言及します。言葉を見るのも嫌だ、という方につきましてはこの記事をスキップしていただくこともご検討ください。また、ある程度艦これにおける専門用語に類するもの(陣形の名称、特殊砲撃の仕様など)の解説を省略して記述しておりますので、あらかじめご了承ください。

 

 

編成ガバ(+支援・航空隊)

海域に出撃しよう!と思い立った時にまずやることといえば、情報を確認しつつ編成を組むことだと思います。このときにありがちなこととしては、速力ガバ、軽空母と正規空母など類似した艦種を間違える、そもそも行きたい海域を勘違いするなどが挙げられるでしょうか。

高速統一でないといけない海域に低速艦を編成、はありがちだと思います。特に本来高速艦がメインのはずの艦種にもかかわらず低速の艦(Samuel B. Robertsや夕張改二特など)には気を付けていただければと思います。ちなみに挙げた2隻は缶不要、タービンのみで高速化できます。

類似した艦種を間違えるというのは個人的にはウィークリーなどでなるべく労力を押さえて編成を組みたいときに起こるかなと感じています。例えば4-4は「正規空母」を「過不足なく」2隻という状況なのに「軽ければいけるやろ!」と正規空母1軽空母1にするということが考えられます。東方ウィークリーを4-2でこなした続きで4-4をやろうとすると、4-2では正規空母1軽空母1で通したので、と4-4でもそのまま突っ込んで……という可能性はあるかもしれません。もちろん真面目に組めば絶対に起きないミスではありますが、やっぱり定期的にやる作業は減らしたいですからね。ちなみに東方ウィークリーで個人的お勧めは4-2を正規空母1軽空母1で通した後4-4では瑞鶴翔鶴にするのがいいと思います。こうすることで、4-4で必要な正規空母2という条件を満たしつつ、5-2の要件も満たせるわけです。

行きたい海域の勘違いは任務で起こることだと思います。任務では海域もしくは作戦名が表記されますが、たまに紛らわしいものがあります。「サーモン海域(5-4)」と「サーモン海域北方(5-5)」、「南西諸島防衛線(1-4)」と南西諸島海域、「沖ノ島海域(2-4)」と「沖ノ島沖(2-5)」、「カレー洋海域(4-2)」「リランカ島(4-3)」と「カレー洋リランカ島沖(4-5)」は紛らわしいですかね。印象に残っているものとしては、「北方海域全域(3-4)」だと思っていたら「北方海域全海域(3-1から3-5まですべて)」だったということがありました。確認したところ7周年記念の任務だったので、今年も8周年記念任務には気を付けた方がいいかもしれません。新規実装任務はともかく、昔の任務であれば素直に攻略を確認するのが吉かと思います。

他にも、支援の出し忘れや基地航空隊の出撃忘れなどはよく聞きますし、遠征艦隊を支援に出したせいで、いざ出撃するとそこには笑顔で駆け回る大量の魚雷が……なんて話もあります。事前にちゃんと確認はしましょう。まあちゃんと確認してもそういうミスは起きるんですけども。じこはおこるさ。

 

装備ガバ

艦娘を出撃させるにあたって、装備を積まず、適当にそのまま出すなんてことはあまりないと思います。しかし、確認不足など様々な要因によって装備を積まないまま海域に突撃、という事態が発生することがあります。

実際にイベント海域に連続で出撃していた際、夜戦でどうにも夜戦連撃が出ないことがありまして、不思議に思って確認したところ3スロ軽巡の装備が主砲・夜偵・なし、となっていました。前日編成を組んだときは問題がなかったのになぜ、と思いましたがどうやら装備改修の際に積んでいた主砲を降ろして改修、その後積みなおさずに忘れてしまっていた、ということのようでした。

また、別のタイミングにもやらかしていまして、艦載機を積まずに1-4に出撃したことがあります。このときは確かNF(京大の学祭)で海域攻略のタイムアタックをするためにみんなの前で艦これをプレイしていたときで、仲間から航空戦発生してなくないですか?との指摘がありました。まさかそんなわけwと見守っていたら2戦目以降の空母が出てくるマスで航空戦が発生したら自艦隊から航空機が出ない。みんなの前でそんなミスをしたものですから、「RTAだからって航空戦カットとは流石」「ノーマルル級の弾着なんて初めて見た」なんて散々からかわれました。

他にも別メンバーの話になりますが、任務の都合で明石を出撃させた後、泊地修理をして寝て起きたら明石が主主電機銃だった、なんて話もあります。みなさんも出撃直前には艦娘が昼/夜のカットインもしくは連撃装備になっているか、空母がちゃんと艦載機を積んでいるか、制空値は問題ないかなど最終確認をするようにしましょうね。ぶきや ぼうぐは かならず そうびしてください! もっているだけじゃダメですよ!

 

陣形ガバ

戦闘前には単縦陣などの陣形を選択します。このときに適切な陣形を選ばないとまあ大変なことになることがあるわけです。特によそ見してたりすると今自分がどのマスにいるのかわからなくなってしまい、結果として潜水艦に単縦で突撃したりしてしまうことになります。同様にネルソンタッチ、長門の胸熱砲などの特殊砲撃は発動条件として特定の陣形であることが必要なので、それらを使いたいときにもうっかり縦で突撃してしまうこともあり得ます。

京艦同ではイベント中に仲間のプレイを画面共有して眺めていると「第二警戒航行序列、ヨシ!」なんて言ってボスマスでちゃんとタッチが発動できるようにみんなで警戒しあっています。たまに脳みそが腐っているのか、「第二警戒航行序列、ヨシ!」と言いながら第四警戒航行序列を選ぶ場面も見られますが、そんなときには「なに見てヨシって言ったんですか?」と笑ってあげてください。みなさんも陣形確認、ご安全に!ヨシ!

 

操作ガバ

さて、艦これに慣れてくると戦闘は見ているだけのため他のことも並行して作業したくなります。実際、私も旧3-2-1レベリングをしながらテスト勉強をしていたこともあったりします。ただし、そうしてマルチタスクをするときは自分のマルチタスク能力のキャパシティはきちんと把握しておくことをおすすめします。よそ見などによるミスは非常に多く、間違えて夜戦に突入せず終わった、間違えて誤進撃・誤撤退をしてしまった、といった話は経歴の長い提督なら心当たりはあるかと思います。これらの成れの果てがいわゆる大破進撃、轟沈です。例えば私の岩本隊+10と天山友永は旧5-4に眠っています。あとは察してください。他にも、一度通話・プリコネのシナリオ視聴・FGO・艦これを同時並行していて大破進撃をしたことがありまして、そのときはやはり心臓から口が飛び出そうになりました。

ここまでのマルチタスクはしないにしても、自分がどの程度のタスクをどの程度の数同時に処理できるかは把握しておくと艦これに限らず今後の役にも立つので、なんとなく把握しておくといいと思います。真面目な話になっちゃったのでオチはありません。

 

〇任務ガバ

艦これの任務まわりの仕様って不便ですよね。受注しないと進行しないのはともかく、受注制限数を超えると受注できなくなるんですよ。この結果何が起きるかというと、受注したつもりで海域を攻略し、報酬を受け取ろうと思ったら何も進んでいなかった、という事件です。これが容易な第一海域などの任務ならともかく、ランダム性の強い海域や難度が高い海域、例えば5-5なんかをヒィヒィ言いながらなんとかS勝利をもぎとって意気揚々と帰ってきたら大当たり!もう一回!という目にあった日にはとりあえずふて寝したくなってしまいます。また、編成と装備を組み替えながら海域を攻略していったら実は反復出撃しないといけない任務だったのでもう一度編成と装備を組みなおし、なんていうのも堪えますよね。

こうならないためにもきちんと任務の受注をしたかどうか、海域はあっているか、その海域に何回言って何回どの程度勝てばよいのか、などをしっかり確認して取り組んでいってください。それにしても艦これの任務関係のシステムは酷いないやシステム以上に最近の任務は気さくに5-5に行かせすぎだしやっとこさ達成しても選択報酬でふざけた選択肢出すしさなんなんカタパと対潜20の爆雷の二択とかカタパと天山夜攻と三四型のうち1つだけとかしょっぱすぎんねん全部寄越せっていう話なんやなブツブツ……

 

誤解体・誤改修

艦これを始めたばかりの提督であれば、新規艦娘や装備との出会いは数多いと思います。そうでなくてもイベントシーズンは特に入手機会が多いと思います。そんな入手したての艦や装備をロックしていますか?実際京艦同では新規入手した艦や装備を誤解体したり、間違えて近代化改修の餌にしたりなどの事件がありました。

実際の事例としては、誤解体した!めっちゃ困る!となりうる海外艦や非常に強い艦というよりは、あんまり印象に残らないとか名前が紛らわしいといった状態になりやすい準コモンのような駆逐が多い印象です。あるメンバーは誤解体したことにショックを受けたのか、自戒するようにTwitterの名前を「○○を誤解体した△△」という形の名前に変更していたこともありました。

他にも、コモン駆逐で自分が特に思い入れがないから持っていなかった艦、仮に五月雨を挙げますが、そんな五月雨に改二が来て、五月雨改二が欲しい!と思って確認すると五月雨がおらず、ならば五月雨がどこかでドロップしたら確保しておこう、掘るほどでもない、などと考えていたらいざ出たときに五月雨が欲しいことを忘れていてそのまままた解体、みたいな話も聞きます。慣れてきて必要ない艦を改修・解体するようになると忘れるのでなるべく初めて出たときにロックしておきたいですね。ちなみに五月雨を引き合いに出したのはコモン駆逐でパッと思いついたのが五月雨だっただけです。ホントウデスヨ?

 

その他

わざわざ区分けして述べるほどでもない内容もいくつかあるので、箇条書きで紹介しておきます。

  • 目的を達成できそうだったのに操作ミスでブラウザバックや更新がかかってなかったことに
  • メンテの朝起きたら11時を過ぎていた
  • 長時間遠征から帰ってきたと思ったら失敗だったのでやり直し
  • せっかくランカーに滑り込んだと思ったらギリギリ漏れていた

 

 

さて、いかがだったでしょうか。我々も人間である以上は(人間じゃないと自称・他称する京艦同メンバーも私含めそこそこいますがそれは置いといて)ミスをします。そのミスを可能な限り減らす、ミスしてもリカバリーが効くようにするというのは艦これに限らず何に対しても重要なことだと思います。それでもミスして落ち込んだ場合はdiscordの新歓サーバーに来てみてください。みんなきっと暖かく迎えてくれて話を優しく聞いてくれると思います。ときにはその先輩たちの失敗談を面白おかしく聞けることもあるかもしれません。一度来てみてください。新歓やってる間は優しく接してくれるでしょう。知らんけど。

さて、ここまで乱文ではありましたが長々と読んでいただきありがとうございました。私はOBになってしまいましたが、今後も催しにはちょくちょく顔を出していきたいと思いますので、新入生の皆さんもそのときはよろしくお願いします。

以上、ダウトがお届けしました!

 


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 当記事はバンダイナムコエンターテインメントの『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の二次創作小説になっています。原作を知らなくても読めるように配慮したつもりなので、ぜひ読んでみてください。そして、あなたも素敵なアイドルたちをプロデュースしませんか? (文責:クリスタリン)

 

  『noctchill』

 

 黒板のあたりをぼんやりと見つめていると、ふと視界の端で何かが横切ったように感じた。窓の外を見やると、おだやかな春うららの中で蝶がひらひらと飛んでいる。今日は風もなく、飛翔には絶好の日和だろう。私もあの蝶のように自由に羽ばたけたらいいのに、と思った矢先にその考えを振り払う。私は羽ばたく翅があっても、それを使おうとしないのだ。飛びたくても、飛ばない。それは、自らの過小評価でもなく、ある種の諦観だった。どうせ、何かをやろうとしても失敗するか、成功したとしても誰の目に留まることもなく、ひっそりと消えていく。だったら、最初から期待しない方がいい。何事も、必要最小限の努力で、そこそこの結果が得られればいい。私は、そういう生き方で満足していた。

「おーい、樋口」

「……何、浅倉」

「何見てたの」

「外」

「なんかいた?」

「蝶」

「ふーん、蝶か。いいじゃん」

「何で」

「なんか、春っぽい」

「何それ」

「え、蝶と言えば春でしょ」

「他にもあるでしょ」

「うーん、たとえば?」

「……つくし」

「つくし。確かに。私もつくしになりたい」

「……一応、理由を聞いておくけど、どうして」

「え、つくしって強そうじゃん。どこにでも生えてるし」

「浅倉は、それでいいの?」

「うん。あと、めっちゃ大きいのあるよね。こないだ川の土手でぼーっとしてたら、なんか私の手より大きいの見つけた」

「ふうん」

 あんたは小学生なの、と聞きたくなったが喉まで言葉が来たところで何とか飲み込む。

「それで、どうする?」

「んー、帰ろっか」

「オーケー」

 今日は始業式と、新しいクラスでの自己紹介を兼ねたオリエンテーションをやったくらいで解散となったので、まだお昼というのにも早い時間だった。幼馴染という名の腐れ縁のおかげかどうかは知らないが、透とはまた同じクラスだった。

「ちょっと待って、浅倉」

 忘れていたことがあったので、透を呼び止める。

「何?」

「小糸に、渡すものがある」

「あー、それだったら、待とうか。何組だっけ。小糸ちゃん、この学校だよね」

「5組。……朝、一緒に登校したじゃん」

「え、あー、うん。そうだった」

 時々、透のことが心配になる。

「じゃ、行こっか」

 透が我先にとどこかへ向かおうとするので、一応行き先を聞いておく。

「……どこに?」

「え、小糸ちゃんの教室」

「昇降口で待って本人に渡せばいいから、別に、教室で渡す必要ないし。それに、1年生、怖がっちゃうかもしれないでしょ」

「うーん、そうかな。大丈夫でしょ」

 その自信はどこから来るのだろう。

「……はぁ。もういい。行こう」

「のりこめー」

 透に続いて、私も教室から出る。廊下は、私たちのように帰宅しそびれた生徒たちが何人かいたが、特に顔見知りもいなかったので、さっさと1年生の教室のあるフロアに向かうことにする。

「こういうの、やってみたかった。センパイがコウハイの教室に行って、オイオマエ、ツラカセヤーってやつ」

 ステレオタイプの不良か。

「小糸、かわいそう」

 おたおたする小糸の姿が目に浮かぶ。

「でも、浅倉には似合わない」

「ふふっ、私もそう思った」

 私たちはくだらない話に花を咲かせた。

 長い廊下の突き当たり、1階と3階を結ぶ階段のところまで行くと、透が急に立ち止まる。

「何階だっけ、1年って」

「3階」

「階段上るのかー」

「去年もそうだったでしょ」

「もう上ることもないかなって」

「図書室とか、3階じゃん。浅倉だって図書室で時間潰したりとかするよね」

「んー、まあ、そうだけどさ。なんというか、学年が変わって、それで教室が変わると、自分の教室の階がホームで、それ以外がアウェイって感じがする。なんか、そこにいちゃいけない気がするって感じ」

 気持ちはわからなくもないが。

「……まあ、いいけど。えっと、1年の教室は、こっちか」

 私たちは、1年5組の教室の扉の前に立つ。周りは帰宅をし始めた生徒でにぎわっていた。透が怖気もなく教室の中に顔だけ突っ込ませる。

「こんにちはー。あの、福丸小糸ちゃん、っていますか」

 教卓の前あたりで歓談していた女の子たちがこちらを振り返る。私たちのネクタイを見て、上級生だと思ったのだろう、わずかに表情に緊張が走るのが見えた。知らない生徒で、しかも2年生が2人も来たのだから、無理もないかもしれない。

「……ああ、いますよ! ……えーっと、福丸さーん」

 クラスメイトの呼びかけに、窓際の席で顔を上げる女の子が一人。私たちの存在に気づいたようで、パタパタとこちらに近づいてくる。

「お、お待たせ! 透ちゃんに、円香ちゃん! ど、どうしたの?」

 小糸がくりくりとした目で透の方を見つめる。なぜかはわからないが、小動物みたいにそわそわしている。

「あー、私じゃなくて、樋口のほう」

 透が私のほうに顔を向ける。

「これ、小糸にあげる」

 小糸に手渡したのは、淡い青色のヘアピンだった。

「えっ……、これ、どうしたの?」

「自分で買ったはいいんだけど、いざ普段使いしてるとどうも合わなかったから。捨てるのもどうかと思ったし。小糸がよければ、だけど」

「ううん、あ、ありがとう……! 嬉しいよ、円香ちゃん! 大事に使うね!」

 小糸の太陽のようなまぶしい笑顔でこちらもつられて微笑んでしまう。小糸が笑うだけで、周りが笑顔になるような、そんな魅力があった。

「えー、いいなー。樋口、私は?」

「浅倉のはない」

「ぶー」

 ふてくされる透をはいはいと流していると、遠くから奇ッ怪な声が聞こえてきたような気がしてきた。聞かなかったことにすると、透せんぱ~い♡ とかいう甘ったるい声がやはり疑いようもなく知覚されてしまった。

「お、雛菜。やっほー」

「透先輩、やっほ~♡ 小糸ちゃんも、やっほ~! あ、円香先輩、こんにちは~」

 この子は昔から私に対して妙に礼儀正しいところがある。慇懃無礼と言うべきかもしれないけど。今度しっかり教育してやろうかと思ったが、面倒なのでやめておく。

「雛菜ちゃん、危ないから、廊下は走っちゃダメでしょ!」

「気を付けて走ってるから大丈夫~」

「もう! そういう問題じゃなくて……」

「小糸ちゃん、こわい~」

 雛菜はその言葉に反してどこか楽しそうに、というよりかは小糸をからかってるように見える。

「……はぁ。雛菜、それくらいにしといたら。あと、ここ、邪魔」

 私たちが集っていたのは教室の扉の眼前である。帰宅しようとする生徒の邪魔になることは目に見えていた。

「そ、そうだね。私たちも帰ろっか」

「おっけー」

 私たちは1階の昇降口に向かう。

「そういえば、円香ちゃん、わざわざ1年の教室に来てくれなくても、”LIME”で連絡してくれればよかったのに」

「別に。ほんの気まぐれみたいなものだから」

 そう、透と、私の気まぐれ。

「あー、そういえば、私、今金持ちなんだった。なんか、帰り道おごってあげる」

「やは~♡ 透先輩、太っ腹~」

「そう。太いの、腹が。もう満腹って感じ」

「いや、それ意味が違うでしょ」

 透と雛菜の漫才にツッコミを入れてあげる。ツッコミ不在の漫才は終わりがないから。

「と、透ちゃん、いいの?」

「うん。昨日、親戚の人が来て、進級祝いだって」

「今日は宴会だ~~~!」

「……ほどほどにね」

 

***

 

 コンビニの入店音はなかなかどうして耳から離れない。特徴的なメロディーが繰り返し脳内再生されるのをなんとか停止して、私は商品を物色する。透におごってもらうのとは別に、自分のポケットマネー(といっても親からのお小遣いなのだが)で適当に飲み物なども見繕っておこう。小糸は総菜を、透と雛菜はお菓子を探しに行く。

「お、これなんかいいんじゃない。『激辛度3000倍!世界一辛いポテトチップス』って書いてある」

 何を基準にして3000倍なのかはわからないが、見えている地雷を踏むこともないだろうと思う。いちいち横槍を入れることでもないだろうと判断し、「まあ、いいんじゃない」と流しておくことにする。

 透が”激辛ポテチ”を買い物かごに入れるのを横目に、私は陳列棚を挟んで隣のスペースへ移る。

 雛菜が何かをじっと見つめて思案しているようだった。視線の先を見ると、『かずのこの海』と『さかなの川』の2つのチョコ菓子。

 雛菜は私に気づいたようで、『かずのこの海』と『さかなの川』の2つを手に、こちらに駆け寄ってくる。

「ね~、円香せんぱ~い。雛菜だったら、どっちが好きだと思う~?」

「私が知るわけないでしょ」

「じゃあ、雛菜クイズ~! 正解したら、円香先輩にも雛菜のしあわせ~を少しだけ分けてあげてもいいよ~~~♡」

「なにそれ」

 雑にすませてやってもよいのだけど、仕方がない。付き合ってあげることにしよう。

 雛菜の手にある『かずのこの海』と『さかなの川』は最もよく知られた菓子のうちの2つで、相対するものとして扱われることが多く、互いの菓子のファンが血で血を洗う争いを引き起こしたこともあるらしいが、真偽のほどは定かではない。

 雛菜はよくクッキーを食べているから、クッキーがベースの『かずのこの海』が好みではないかと思う。しかし、雛菜のことだから、普段の嗜好品とはまるで違うお菓子を好む可能性も充分にあるだろうし、私が裏をかくだろうと思っているかもしれない。思考のるつぼはドツボにハマる。したがって、こういうのは直感を信じるに限るのだ。

 私は黙って雛菜の右手にあるものを指さす。

「ファイナルアンサ~?」

 雛菜が圧をかけてくる。神妙な表情をした雛菜。無言の時が流れる。

 もう、なんでもいいから、早くして。

「……ファイナルアン「ざんね~ん、はずれ~~~♡」サー」

 ……はぁ、疲れた。

 私たちの三文芝居で場が冷めてきた頃、小糸と透がこちらに近づいてくるのが見えた。透の手に下がる買い物かごの中は、お菓子の山となっていた。

「そんなに食べるの?」

「うーん、まあ、4人なら大丈夫でしょ」

「私はあまり戦力にはなれないと思うけど」

「大丈夫、大丈夫。何とかなるって」

「まあ、余ったら持って帰ればいいか」

「透ちゃん、これ、お金大丈夫かな……?」

「へーきへーき。私、お金持ちだから」

「あは~~~♡」

 まず透がレジに並び、雛菜、小糸、私の順で並ぶ。店員が会計をしている間、透はごそごそと自分のカバンを漁っている。しばらくして、

「あー」

 と透の声。

「……何?」

「ふふっ、ごめん」

 まさか。

「財布ないわ」

 

***

 

 私たちは、常連の公園に行くことにした。道中、透は財布を家に置いてきたということに気づいたらしく、そういうこともあるよねと一人で納得していた。コンビニでは結局、買い物カゴの中身のほとんどを商品棚に戻すことになってしまった。透が今食べ歩きしているお菓子は、私のおごりである。

 10分ほど歩いたところで目的地に到着する。住宅地の中にあるとはいえ、お昼を過ぎた時間帯では人の気はなかった。公園に入ってすぐのところに2つの2人掛けベンチが横並びになっており、まず透が片方のベンチの向かって左端に座ると、雛菜が我先にと透の隣を陣取る。私が他方のベンチの左端に座り、小糸が最後に私の隣に腰を下ろす。春の陽気の中、私と小糸が確保した総菜を各自分配して、さっそく昼食をはじめる。

「いいね。こういうのも」

 透がつぶやく。

「う、うん。すごく、久々な感じ……」

 小糸が私たちと別の中学に行ってからは4人集まって何かをするという機会もあまりとれなかった。進学先を変えた理由は結局本人に聞かなかったが、聞く必要もないし、詮索するようなことでもないと思った。小糸が話したくなったら、その時になってはじめて耳を傾けてあげればよいと思っている。

「透先輩~~~♡ あ~~~~ん」

 隣の雛菜がうるさい。珍しく黙っていたので、何をしていたのかと思えば。隣を見ると、自分のカレーパンを透の口にねじ込もうとしていた。

「雛菜、うるさい」

「あは~~~♡ 円香先輩もやる~~~?」

 ずいぶんと楽しそうな雛菜。

「……浅倉の世話は雛菜がやっておいて」

 餌付けされた透はさながらひよこのようだ。咀嚼する透の姿を見て、少し魅力的な提案に思えたが、透にやる趣味はあまりないので、代わりに隣に座る小糸を世話してやろう。

「ほら、小糸、口開けて」

「ま、円香ちゃん……!? ちょ、ちょっと待って……」

 小糸の開いた口にフライドポテトを放り込む。口をモグモグさせる小糸は、あたかもヒナドリみたいだった。

 ……ああ、この感覚―――。この感覚……。

 癖になりそうだ。

 私が小糸に餌を与えていると、透が口を開く。

「……あー、そうだ。これ、言っといたほうがいいかな」

「透先輩、なに~~~?」

「私、アイドルやるかも」

 

***

 

 青天の霹靂。中国の古語が由来で、青空に突然響き渡る大きな雷鳴の意であったのが、現代では全く思いもよらなかった突然の出来事に対して使うらしい。私たちの今の状況は、まさしくそれと呼ぶにふさわしいと思われた。

「透先輩、アイドルやるの~~~?」

「まだ、決めてないけど。やるかもって感じ」

 雛菜の言葉に透は首肯する。雛菜も驚きはしたようだが、あまり動揺はしていないように見える。小糸は固まっていた。

「……どうして」

 私は、それくらいしか言葉をひねり出すことができなかった。とにかく、理由を聞きたかった。

「あー、うん。スカウトされた。アイドルのプロデューサーだってさ」

「……詐欺じゃないの、それ」

「最初にそれも考えたんだけど。多分違うっぽい」

 ほら、と言って透は雛菜に何か小さい紙のようなものを渡す。雛菜はまじまじとそれを見つめる。

「あは~~~♡ 透先輩、すご~~~い」

「雛菜、見せて」

 雛菜から渡された名刺を確認する。

『283プロダクション プロデューサー 〇〇〇〇』―――。

 聞いたことのない芸能事務所だ。そもそも芸能事務所かどうかすらも疑わしい。プロダクションの名を騙った詐欺グループの可能性もある。名刺に書いてある住所と電話番号も確かめておく。……ここからそんなに遠くない。最寄駅から、数駅程度。電話番号は……、足がつくと危ないかもしれないから、公衆電話からかけるべきかもしれない。ボイスチェンジャーを用意しておいたほうがよいということもあるだろう。念には念を入れる。

 名刺の写真をスマホで撮っておき、まだ固まっている小糸を正気に戻すと、名刺を渡す。小糸はかすかに震えながら、名刺を受け取ると、書いてある内容に注視する。小糸は黙ったまま、透に名刺を返した。

「どこで、これを?」

「ここの公園の近くにさ、バス停あるじゃん。そこ」

「いつ」

「昨日。お昼ぐらい。服にセロハンテープついてたから取ってあげた」

 どういうシチュエーションなの?

「浅倉。返事は、したの」

「まだ、してない」

「しないほうがいい。名刺も、捨てて」

「うーん、でも、やってみたいかも」

 どうして。アイドルなんて、透には似合わない。

「透先輩がアイドルやるんだったら~~~、雛菜もやる~~~♡」

「ぴぇっ.……!? ひ、雛菜ちゃん……!」

 どうして。なんで、そんなに、アイドルなんて。

「いいじゃん。やろうよ、アイドル」

「アイドルって、楽しそう~~~♡ 雛菜も、しあわせ~~~♡ になれるかな~~~」

「大丈夫、大丈夫。なれるって」

「やは~~~♡」

 盛り上がる二人とは対照的に、私は動揺を隠せないでいる。きっと、隣の小糸もそうだろう。

「あ、もうこんな時間か」

 透がスマホを見て、ごみを片付ける。

「透先輩、バイト?」

「うん。今日は早く学校終わるからって、シフト早めにしたんだ」

「そっか~、もっと透先輩とおしゃべりしたかったな~~~」

「ふふっ、私も。残念」

 私たち4人はそうして帰路につくことになった。私のわだかまりは溶けないまま。

 

***

 

 帰宅した私は、手洗いを済ませた後、さっそく『283プロダクション』について調べてみることにした。Gohoo検索にかけてみる。……1件目は、765プロがヒットした。2, 3, 4件目には346プロと315プロ、876プロが引っ掛かった。どれも有名な芸能事務所であるが、283プロではない。

(……やっぱり、詐欺グループなんじゃ)

 画面を下にスクロールさせると、5件目に283プロの名前があった。迷いなくタップすると、いかにも急ごしらえという感じのホームページが出てきた。

『羽ばたけ、虹色のアイドル達。』

(……まだ、未完成のページあるじゃん)

 いくつかのページが工事中になっており、閲覧できるのはトップページと企業概要、所属アイドルのプロフィールと求人情報くらいだった。

 所属アイドルは……、イルミネーションスターズとアンティーカ、放課後クライマックスガールズにアルストロメリア、それとストレイライトの5ユニットか。どのユニットも、かすかにだが聞いたことはあるような気がするが、あまり印象には残っていない。

『オーディションのおしらせ』というページが見つかったので、タップする。

 遷移したページには、『君もヒカリ輝くアイドルに!』という歯の浮くようなセリフが大きく表示され、応募要項などが詳しく記されていた。それは後で一通りチェックすることにして、名刺に本人の連絡先と、283プロの電話番号が記載されていたので、まずは283プロのほうに電話をかけてみることにする。

(まあ、いいか)

 詐欺グループならもっとまともなホームページを作るだろうし、こんな未完成のものでは、逆に”ホンモノ”という感じがする。少し警戒心を解いてもいいかもしれない。

(人手不足なのか、予算不足なのか)

 半ば呆れつつも、念のため非通知設定にしておいて、自分のスマホでコールする。……1コール、2コール、3コール……、出た。

「はい~、こちら、芸能事務所、283プロダクションの七草です~」

 とても間延びした女性の声。緊張感がなくなる。

「……もしもし、あの、樋口という者です。ホームページを見たのですが。そちらに○○〇〇という方は在籍していますか」

「はい~、〇〇は弊社の者です~。お電話代わりましょうか」

「……いえ。先日、名刺をいただいたので。本当に283プロダクションの方なのかなと思って。では、失礼します」

 相手が何か返事をする前に電話を切ってしまう。無礼な行いだが、今日は敵情視察の予定だったので、深い話をするつもりはなかった。ホームページを再度確認すると、資料請求の項目があったので、しばし逡巡した後、申し込んでみることにした。個人情報を入れるのには抵抗感を覚えたが、やむを得ない。

 

***

 

 数日後、何の気なしに自宅ポストの中を見てみると、大きな白封筒が鎮座していた。

素早く回収し、部屋の中に持ち込んでおく。

『樋口円香様』

 送り主は283プロダクション。間違いないだろう。さっそく開封し、中身をあらためる。

 会社の概要などが書かれた冊子や、近日行なわれるオーディションの要項などが書かれた紙などが入っていたが、目を奪われたのが、在籍するアイドル紹介と、従業員一覧である。

 まず、アイドルからチェックする。だいたいはホームページに記載された内容と同じものだが、個々人のミニインタビューなどホームページにはない情報もあり、差異化が図られていた。

 印象に残ったのは、『放課後クライマックスガールズ』の小宮果穂と、同じグループに所属する園田智代子。小宮果穂は、12歳の小学生だが、163cmという体躯に目を引かれる。インタビューの受け答えも、小学生らしさがある中きちんとしており、しっかりとした印象を受ける。園田智代子は、”クラスに一人はいるごく普通の女の子”という紹介がされているが、こんな子がクラスに一人もいてたまるかと思う。ミニインタビューの文面からして、皆から愛されるタイプなのだろうなという気がする。

(……さて、悪の本丸)

 社員一覧を見ると、283プロには社長が一人、正社員が一人しかいないことが判明。なぜか、”アルバイト”の人まで載っていた。

(人手不足ってレベルじゃないでしょ……)

 バイトの人は、七草はづきという人らしい。名字からすると、先日、電話応対してくれた女性だろう。正社員は、〇〇〇〇……この人か。この男とコンタクトを取る必要があるかもしれない。悪人だった場合、透が手篭めにされてしまう。電話やメールでは真意がわからない可能性もある。リスクは高いが、実際に言葉を交えて人となりを観察すべきだろう。綿密に計画を練っておくことにする。

 もし、善人だったら。ふと、その場合が脳裏をよぎる。もし、善い人で、透がアイドルになりたいのだったら、私に止める権利なんてないんじゃないか。いや、そういう”最悪”のケースはその時になって考えればいい。私は思考をクリアしようとする。でも、その疑念が、私をつかんで離さなかった。

(……どうしたらいいの。いつだって私たちは、4人でいたい。まだ、4人で―――)

 瞬間、スマホが振動する。着信。小糸からだ。

「……小糸」

「も、もしもし、円香ちゃん?」

「珍しいね。小糸から電話なんて」

「ご、ごめんね。突然」

「別に。それで、どうしたの」

「う、うん。あの、透ちゃんのことなんだけど」

 やはりそうか。

「……うん」

「ま、円香ちゃんは、どうするとかって、あるのかなって……」

「……どうしたらいいと思う?」

「ぴぇっ……え、えっと……」

「嘘、冗談。質問を質問で返すようで悪いけど、小糸は、どうしたい?」

「わ、わたしは……、透ちゃんと、円香ちゃんと、雛菜ちゃん。4人一緒にいたいなって……。せっかく、一緒にまた遊べるようになったのに……」

「……そう。わかった」

 私には言えないことを、言ってくれた。小糸は、強い子だ。私よりも、ずっと。

「それで、浅倉のことなんだけど。先方に会ってみようかと思ってる」

「え、えっと……〇〇さんっていう人……? 283プロの……」

「うん。ちょっと私でも調べてみたんだけど。実際に会ってみないとわからないことがあるから」

「そ、そっか……。で、でも、大丈夫かな……」

「何かあったら、連絡するから。だから、安心して」

「……う、うん」

 薄々わかっていた。あの透がアイドルになりたいと言っているのだ。だったら、私たちには覆しようもないということは。透は、いつもマイペースだが、私たちの誰よりも前を走っていた。私たち―――、いや、私は、ずっと透の後ろを追いかけていた。追いついたと思っても、いつの間にか遠くに行ってしまっている。いつだって、それの繰り返し。

 私も、透のように、羽ばたきたい。でも、羽ばたくのが怖い。誰かに期待されて、誰かに失望されて、誰かに称賛されて、誰かに批難されるのが、怖かった。必死に生きるのが、嫌だった。身の程を知るのが、恐ろしかった。

「……じゃあ、小糸。明日、またね」

「う、うん……!ばいばい、円香ちゃん……!」

 通話が切れる。同時に、私の中の何かが切れたような、そんな気がした。

 

***

 

 私は放課後になるとすぐに283プロダクションのところへ向かった。電車で10数分ほど揺られると、283プロ最寄りの駅に着く。そこから歩いて10分ほどだろうか、目的のエリアにたどり着くことができた。283プロは小さな3階建てのビルの2, 3階を間借りしているらしく、1階にはペットショップなどが入っていた。283プロの入り口がちょうど見えるところで私は張り込みをすることにした。

(……刑事ドラマの見過ぎ)

 親には、友達とご飯に行くから遅くなると言ってある。近くのコンビニで買っておいたパンとカフェオレをいただきながら、ただじっと待つ。

 あたりが暗くなったころ、2階の電気が消えた。私は警戒を強める。社長の写真はホームページに掲載されていたし、私の知らない顔の男が出てくれば、○○○○だとほぼ断定できるはずだった。

 向こうにはこちらの息遣いなど聞こえるはずもないのに、私はじっと息をひそめる。やがて、階段を下りてくる姿が見えた。私はまじまじとその人物を見る。身長は……高い。180cmはゆうに超えている。顔は、ここからでは暗くてよくわからない。もう少し近づく必要があるかもしれない。私はあくまでも自然な体で男に近づく。……顔を見た。あの写真の顔ではない。とすれば、あの男が。ほぼ決まったようなものだが、完全に断定するには、まだ材料が足りていない。もしかすると、私が把握できていない従業員の可能性もある。私は、意を決して男に話しかけることにした。

「―――あの、すみません。283プロダクションの方でしょうか?」

 すでに分かり切った質問をする。

「ええ、そうです。……失礼ですがあなたは……?」

 

***

 

 結論から言うと、男が当該の〇〇〇〇で、283プロのプロデューサーだった。

 私は283プロ事務所を避け、近くにある喫茶店で話をするように場を持ち込むことに成功。そこで、男から名刺をもらうと、先日透がもらった名刺と完全に一致していた。男の話と私の認識―――アイドルの活動実績など―――はほぼ同じだったし、詐欺グループや、悪徳芸能事務所ではなさそうだと判断。まだいくつか不安要素はあったし、もしも危ないことがあったら、否が応でも透を引き戻すつもりだったが。

「今、ここでスカウトさせてください……!」

「……は……?」

 冗談が上手い男だと思った。ミスター・ジョーカー。

 その次に彼から紡がれた言葉で、私の心が揺らぐ。

 ぜひ、浅倉さんと一緒に! どうでしょうか……!

 まさか、私が、アイドル。しかし、これは好機だと思った。私がアイドルになれば、この男を監視することができる。それに、透とも、いられる。今、ここで、このチャンスをつかみ取らなければ、明日には反故になる話かもしれない。だったら。

「……わかりました。そういうことであれば」

 そうして、彼に名前を聞かれたので、ただ一言を添えて。

「……樋口円香です。よろしくお願いします」

 

***

 

「よーし、みんな集まったな!」

 時は過ぎて、私は再び283プロダクションにいた。透も、小糸も、雛菜も、みんなここにいる。

「ふふっ、結局、また4人いっしょだ」

「あは~~~♡」

「が、頑張らなくちゃ……!」

「……まあ、ほどほどに」

 各々好き勝手に言う。

「まずは、君たち4人でユニットを組んでもらう」

「……突然ですね」

「透と、円香が283プロの一員になってくれた時から、構想はあったんだ。幼馴染のユニットが、どういうふうに羽ばたいてくれるのか、興味がわいてきてね」

「私たちが、どういうふうに羽ばたけるのかは、あなたの手腕次第じゃないですか? ミスター・プロデューサー?」

「ははっ、いや、それもひとつの面としてはあるんだが……。でも、やっぱり、君たちの頑張りがモノを言うと思う。俺も、全力でフォローするからな! ……他にも、何か聞きたいことはあるかな」

「プロデューサーは、雛菜のこと、しあわせ~にしてくれますか?」

「雛菜、オーディションの時にも言ったが、アイドルは楽しいことばかりじゃなくて、大変なこともたくさんある。だから、雛菜のアイドルとしてのしあわせは、雛菜自身がつかみ取ってほしいと思うんだ。俺も、頑張ってサポートするよ」

「プ、プロデューサーさん……、わ、わたし大丈夫かな……」

「小糸は、アイドル活動の中で、どんなアイドルになりたいか、それを決めることが宿題だ。難しいこと、わからないことがあったら、なんでも俺に聞いてくれ」

「私は……うーん、特になし」

「そ、そうか……。何かあったら、いつでも言ってくれ」

 

***

 

 そうだ、最後に一番大事なことを発表したいと思うんだ。

 え~、何~~~?

 君たちの、これから結成するユニットの名前だ!

 あは~~~♡ なになに~~~?

 じゃあ、発表するぞ。新しく結成するユニットは―――。

 

 


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21春イベ最速予想(2021/04/17時点) ※妄想

 とてもお久しぶりです、しもうさ(@frostleaf_nnds)です。いつもイベント予想記事書いたりしてる人です。

↓前回イベの記事 

kukancolle.hatenablog.com

 

 引っ越しとか新生活とかいろいろあって影が薄くなってましたが生きてます。今回も運営ちゃんからちょっとだけ情報が出たので、春イベ予想をやっていきたいと思います。

 

 この記事は2021/04/17時点での春イベ予想記事となります。

 運営ちゃんからは「前段作戦最終海域で、~『長波』が~」としか情報が出ていません。

 本当にただの読み物程度にお読みください。

 

 

 

 1.(ほぼ)確定情報

 いつもと少し記事全体の構成を変えてみます。まずは運営情報からほぼ確定している情報。

  • 全5海域(前段3、後段2)
  • E3はルンガ沖夜戦

 というわけで、海域構成は以下の通りになります。

 

E1

E2

E3 ルンガ沖夜戦

E4

E5

 

 見事なまでにスッカスカですね。ここに限りなく妄想に近い予想を肉付けていきます。

 

2.運営ツイート

 運営ちゃんのツイートから春イベに関係するツイート、関係あるかもしれないツイートをピックアップしていきます。

 

  上でも書いた前段3・後段2海域という情報ですね。

 

  恐らく「ルンガ沖夜戦」を示唆しているものと思われます。これがE3になるわけですね。また、新規艦に巡洋艦娘(米巡洋艦?)と夕雲型駆逐艦が挙げられています。

 

  こちらもしーちゃんのツイートより。新艦は日本艦と海外艦を含むようですね。

 

  4/1のツイート。「今春~夏前後に展開予定の新たな改二艦~複数の比較的小型の【航空母艦】」が気になるところです。最近あまりイベントに合わせた改装はされないイメージですが、もしかするとイベントモチーフに関係のある艦が改二実装されるかもしれませんね。

 比較的小型の【航空母艦】という表現も受け取り方が分かれるところです。比較的小型の正規空母であれば雲龍型などが該当する(中型とも言える?)ところですが、【航空母艦】という表現は、運営ツイート的には軽空母も含む様です。

※↓前回の既存軽空母改二

  となると、どちらかと言えば軽空母が該当しそうです。既存軽空母で改二が実装されていないのは、「鳳翔」「祥鳳」「飛鷹」「龍鳳」「GambierBay」の5隻。このうち「飛鷹」は基準排水量24140トンで、「雲龍」が17480トンであることを考えると比較的小型とは言い難いかもしれません。

飛鷹 (空母) - Wikipedia

雲龍 (空母) - Wikipedia

 

  しーちゃんのツイートより。bob艦の新艦か改二、もしくは春イベより後の話など何の関係もないかもしれません。上に挙げた改二予告と合わせて考えると、もしかすると祥鳳改二かも?

 

3.イベント海域予想

 お待たせいたしました、春イベの各海域モチーフの予想となります。予想の結果を先に載せてしまいますが、上で挙げたような情報しかありませんのでほぼ妄想です。

 E3以外の的中率はせいぜい10~20%程度だと思ってください。

 

 というわけでこちらが私の予想になります。

E1 セント・ジョージ岬沖海戦(掘り:巻波)

E2 クラ湾夜戦(報酬:新月)

E3 ルンガ沖夜戦(+第三次ソロモン?) (報酬:Northampton)

E4 ビスマルク海海戦

E5 珊瑚海海戦(報酬:Lexington)

f:id:frostia11:20210417180338j:plain

白地図illustAC-ナロンエース様より 

 

 以下で各海域に関して予想の理由を書いていきます。

 

4.各海域について

E1 セント・ジョージ岬沖海戦

セント・ジョージ岬沖海戦 - Wikipedia

 新規艦に夕雲型駆逐艦がいること、E3のルンガ沖夜戦がソロモン方面であること、ルンガ沖夜戦に「巻波」が参加していることから予想しました。この海戦は、鼠輸送を行う日本駆逐艦隊と米駆逐艦隊が交戦したものです。戦闘の規模もE1向きですね。

※以下、赤字はその戦闘・作戦での沈没艦

 

 

  • 警戒隊 (大波巻波)
  • 輸送隊 天霧、卯月(、夕霧)

 

E2 クラ湾夜戦

クラ湾夜戦 - Wikipedia

 E1の予想とE3の位置関係、また、この海戦で沈没したHelenaが実装済みであることなどから予想しました。秋月型駆逐艦新月」(実装済みの秋月型の次に竣工した秋月型)も沈没しており、新規艦として期待できます。

  • 支援隊 (新月、)、涼風、谷風
  • 第一次輸送隊 望月、三日月、浜風
  • 第二次輸送隊 天霧、初雪、長月、皐月
  • 第36.1任務群 Helena

 

E3 ルンガ沖夜戦(+第三次ソロモン?)

ルンガ沖夜戦 - Wikipedia

第三次ソロモン海戦 - Wikipedia

 運営ツイートが示唆する「長波」の戦いは恐らくこのルンガ沖夜戦だと考えられます。ショートランドからガダルカナルへ鼠輸送を行う日本海軍と米海軍との間に起きた夜戦で、日本は戦闘に勝利したものの、本来の目的であった輸送には失敗しました。

 比較的印象深いエピソードではあるものの、戦闘の規模としては前段最終にするには少し小さいように思います。前段最終らしい海域を作るため、直前にほぼ同じ場所で起きている第三次ソロモン海戦あたりを混ぜてくるのではないかと考えます。

 

 ルンガ沖夜戦組

  • 警戒隊 長波、高波
  • 第一輸送隊 黒潮親潮、陽炎(、巻波)
  • 第二輸送隊 江風、涼風
  • 第67任務部隊 Fletcher(、Northampton)

 

 第三次ソロモン組

 +外南洋部隊

E4 ビスマルク海海戦

ビスマルク海海戦 - Wikipedia

 E5を珊瑚海海戦と予想したことにより、その前提として必要な海域ということで想定されます。

 珊瑚海海戦はMO作戦中(ポートモレスビー攻略)に際して起きた海戦で、祥鳳含む攻略部隊はラバウルから南下してニューギニア島ポートモレスビーに向かう途中で攻撃を受けています。これに対し、ビスマルク海海戦ラバウルのあるニューブリテン島とニューギニア島との間で起きた海戦です。時系列的にはバラバラとなりますが、運営ちゃんのイベントモチーフは時系列を無視しがちなのであまり気にする必要は無いでしょう。

 

E5 珊瑚海海戦

珊瑚海海戦 - Wikipedia

 E3でルンガ沖(ソロモン)をやることがほぼ確定したため、後段はその先に進出する作戦と考えます。(どこか全く関係ない場所に飛ばされる可能性もありますが、予想のしようがないのでここでは考慮しません。)

 ソロモンの先で、過去にイベントモチーフになっていない海戦、それも最終海域ということで比較的大きな海戦を考えたときに、珊瑚海海戦に思い当たりました。珊瑚海海戦では祥鳳が沈没しており、「比較的小型の【航空母艦】」の改二という情報を合わせて考えると、イベントと同時に祥鳳改二実装という目も考えられます。

 珊瑚海海戦は、ポートモレスビーの攻略を目指す日本海軍と、それを邀撃する米海軍との間で起きた機動部隊戦です。この海戦で日本側は空母祥鳳、米側は空母Lexingtonを失いました。

 

  • MO機動部隊 瑞鶴、翔鶴、有明(、夕暮)、白露、時雨、
           妙高、羽黒、曙、潮、
  • MO攻略部隊 祥鳳、青葉、加古、衣笠、古鷹、漣
           天龍、龍田、夕張(、追風、朝凪)、睦月、弥生、望月
  • (作戦前に沈没) 菊月
  • 第17任務部隊 (Lexington)

 

5.予想史実艦まとめ

 一応まとめますが、あまりアテにはしないでください。

 

  • 正規空母 瑞鶴、翔鶴
  • 軽空母  祥鳳、瑞鳳
  • 戦艦   比叡霧島、Washington、South Dakota
  • 重巡洋艦 愛宕、高雄、妙高、羽黒、青葉、加古、衣笠、古鷹
  • 軽巡洋艦 長良、川内、天龍、龍田、夕張、HelenaAtlanta
  • 駆逐艦  長波、高波、照月、陽炎、黒潮、谷風、浜風、親潮時津風雪風天津風朝潮荒潮朝雲、白露、時雨、村雨、五月雨、夕立、春雨、江風、涼風、、雷、電、綾波、敷波、白雪、浦波、初雪、天霧、曙、潮、漣、睦月、弥生、菊月、望月、三日月、卯月、長月、皐月、Fletcher

※赤字は沈没艦

 

 駆逐艦がとても多いですね。ひとまずは確定枠であるルンガ組を育てておくのが安牌だと思います。

 

6.まとめ

 いかがでしたか?わかりませんでした!(雑)

 E1のセント・ジョージ岬沖海戦とE5の珊瑚海海戦はわりとしっくり来てるのですが、E2とE4はうーん、という感じです。比較的しっくり来てるE1とE5もヒントが少なすぎるので正直微妙なところ。もし当たったら褒めてください。

 前段最終のほぼ確定枠ということで、育成はとりあえずルンガ組(特に長波、高波)をやっとけば間違いないと思います。

 

 また情報が出たら予想やるかもしれないので、その時はまたよろしくお願いします。

お願いだから「全部あなたがしてること」なんて言わないでほしい

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お願いだから「全部あなたがしてること」なんて言わないでほしい。



夜更かし。それは、分かっちゃいるけどやめられないもの-

夜更かし。それは、多くの場合望まれずに引き起こるもの-

夜更かし。それは、そうと知っていながら何度も繰り返されるもの-



どうも。「『なんでもバターコーン乗っけておけば北海道っぽくなるやろ』なんて舐めたこと考えてんじゃねえぞ」と思っている北海道出身の京艦同老害部のひとり、おおよどです。函館塩ラーメンにそんなもの乗っけたら許しません。

 

見切り発車で記事作成依頼を引き受け、テーマが決まらないまま提出期限一週間前、結局去年もよりどころにした書籍

國分功一郎・著「中動態の世界 意志と責任の考古学」

から、半章分参考にして書くことにしました。

去年は別の章を参考に「自由と強制」の話を嚙み砕いて、最終的に「できるだけのことはやっておこうね」みたいな結論の偉そうな記事を書いて、ありがたくも載せていただいたので興味のある方は是非。

 

「では今年は?」ということで、導入として「夜更かし」にご登場願いましたところ、とても仲が良いので快諾してくれました。

二十年とか生きていれば、夜更かしの一度や二度くらい経験があるんじゃないかなーと思います。それも、明確な意志を持ってやったのではなく「気づくと毛根時間…」ってなるようなやつ。「YouTube漁ってたら1,2時間たってた…」みたいなそういうやつ。

夜更かししてしまっただけでもいい気分にはならないのに、例えば親から「いつまでも夜更かししてないでさっさと寝なさい」とか言われたときには、なおのこと悪い気分になってしまいます。

そんなときは「どうしてこんな時間まで」という後悔よりも、「自分だってしようと思ってしたわけじゃねーんだよ」といった逆ギレめいた感情のほうが強くなります。そう、当人が望んだ夜更かしなんて滅多に存在しない、ほとんどの場合は何故かしてしまうもの、いやもっと正確に言えば、「自分の身の上に起こってしまうもの」、そう表現されるべきものなのではないでしょうか?そう考えると、「私が夜更かしをする」という一見何の変哲もない文は、実は違和感のカタマリなのではないかと思えてきます(繰り返しますが「夜更かしする意志」がない場合)。

前置きが長くなりましたが(505字)、この記事ではこの違和感をひょっとすると解決するかもしれない言語学史を、できるだけ簡単に紹介したいと思います。

※基本的にラテン語の変遷を軸として解説されている書籍なので、日本語での説明だけでは理解しにくい部分があります。

 

 

I. 文の再構築-原初の構文へ-

改めて、「私が夜更かしする」という文を当人にしっくりくるように書き換えてみましょう。

→「夜更かしが私の身に引き起こる」

「夜更かしする」を一つの動詞として見た場合、書き換え後ではこれが名詞に変わっていることが分かります。

実に回りくどい(そして屁理屈じみた)言い回しになっていますが、実はこれが人類初期の言語で使われていた「名詞的構文」とでも呼ばれるもので、その中心的要素を担っていたのが動作を表す名詞・「動作名詞」でした。

これが言語の初期状態ということは、言い替えると「動詞は最初から存在していたのではなかった」ということです。

「見る」を例にとると、まず「見ること」という動作名詞が先にあり、それが格変化した「見るために」「見ることを」「見ることで」「見ることは」などの意味が、今で言う「活用」を構成するようになり、そうして発生したのが動詞である、ということが明らかになっています。

要約すると、「動詞とは発達した名詞である」ということです。

 

II. 英語学習者が経験する違和感の正体

今では主流となっている「主語+動詞(+~)」の〈動詞的〉構文が比較的新しいものであり、それ以前には動作を現す抽象名詞が文の中心に置かれていました。動作という、無生物的ともいえるものを文の主役に据える、、、どこかで遭遇した覚えがありますね。

そう、”It rains.”等に代表される「無生物主語」あるいは「非人称構文」と呼ばれる「クセモノ」がそれです。英語を学習し始めた段階で「『雨が降る』を英訳せよ」と言われれば、rainを主語に持ってきたほうが自然に感じるのに、突然何者かもわからぬitがその座に就き、rainは動詞に「なり下がって」いる-動詞的構文に慣れ切っている者の眼には、奇妙以外の何者にも映らない現象です。

しかし、動作名詞を主役に据える名詞的構文が先にあった事実を踏まえると、この「非人称構文」は、動詞がその最古の形態(=名詞と完全に切り離されてはいない状態)をとっているものとして違和感なく捉えなおすことができます。

 

III. 人称の獲得とその後の変遷

動作名詞から派生したばかりの動詞は、名詞と完全に切り離されてはいなかった-つまり、動作や出来事は表せても、「誰がやったのか」を指し示せるには至っておらず(まだ「動作・出来事自体」が文の中心であるため)、これは同時に、人称の概念は随分と後になってから発生したものであることを意味します。

人称の概念は、例えば”It rains.”が後に三人称と呼ばれる形態になることに始まり、続けて一人称や二人称が現れることによって完成することとなります。

人称の概念が現れても、その後しばらくは行為者が動作・出来事の過程の内側にいるか、外側にいるかのみが問題になっていましたが、さらに時間が経ち、行為者が自分でやったのかどうかが強く問われるようになりました。この記事の導入部に即して言うなら、「夜更かしが私の身に起こっているかどうか」ではなく「私が夜更かしをしているのかどうか」を問うようになったのです。

言い換えれば、「行為を行為者に帰属させる」、極端には「出来事を所有化する」ように言語が変遷していきました。



本当は、参考書籍のタイトルにもある「中動態」についてもある程度説明したかったのですが、そうすると長くなってしまうので「行為者が動作・出来事の過程の内側にいるか、外側にいるか」という大雑把な概念を提示するに留めておくことにしました。

最後に、言語の歴史を簡単にまとめると、

①「名詞的構文」によって出来事が前面に押し出されていた

②その中心であった「動作名詞」から動詞が発生した

③それは人称の発生に繋がり、最終的に出来事や行為が行為者に帰属されるようになった

という流れになります。

「出来事中心」から「行為者中心」の言語体系に移行したことで、「不可抗力によって『私がしている』」という状況が(少なくとも「私」にとっては)言葉でうまく表現できなくなってしまったのですね。

「行為者中心」に移行する前の、「行為者が動作・出来事の過程の内側にいるか、外側にいるか」を描写していた動詞の態・「中動態」はそんな状況を的確に表現してくれ、しかもなんと日本語の中にもその痕跡が見られるらしいので、興味のある方は

國分功一郎・著「中動態の世界 意志と責任の考古学」

を手に取って読んでみてくださいね(終)

 


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